自動車メーカーやその周辺部品のサプライヤーを対象に、クルマ用の接着剤とシーリング材の営業をしています。いわゆる営業というと、価格交渉をして商品を売り込んでいくというイメージがあるかと思いますが、私の仕事は少し違っていて、技術営業というスタイルです。自動車メーカーが新車種を出す場合、プランニングの段階で接着剤やシーリング材の機能や性能について相談があるのですが、それを一緒に考え実現するのが技術営業の仕事です。クライアントの研究開発部門や生産技術部門と打ち合わせをしながら、同時に自社の開発部門と、どういう提案をしていくべきかを話し合います。ウィンドガラス用の接着剤、ドアやボンネット、フレーム等に使用する鋼板用の接着剤、パネルのつなぎ目を止水するシーリング材など、それぞれに規格があり、自動車メーカーによってその基準値は異なります。新しいカテゴリーの接着剤を開発する場合にも、目標性能が必要になるため、どんな物性であるべきかを共に考えます。つまり、新しいクルマに導入する製品の規格づくりから、自動車メーカーと一緒にやるのです。

自動車メーカーサイドから要望があり仕事が動きはじめることもありますが、逆にサンスターサイドからアイデアを持ち込む場合もあります。たとえば、静粛性に寄与する接着剤。この先電動化の波が加速し、エンジンでなくモーターが主流の時代がやってきます。モーターは静かなため、ロードノイズの方が気になるようになるでしょう。このノイズを抑え、乗り心地も含め快適性を高めるための商材を考えて提案したりします。また自動車メーカーの将来ビジョンや一般的なクルマの将来像から逆算して、こういう商材が必要なのでは？という提案をする場合もあります。そのために、クルマ業界の現状や将来的な動向などについて、自動車メーカーと同じぐらい情報を仕入れておかなければいけません。自動車関係のニュースにアンテナを張るだけでなく、展示会にも積極的に参加。たとえば、クルマの軽量化につながる樹脂を発表している素材メーカーがあれば、話を聞きに行きますし、つねに何かコラボできる可能性はないか、提案のヒントはないかを探っています。

将来的には、車はこれからどんどん電化が進んでいくでしょう。そうなったときに電機メーカーや新興企業が参入する可能性があります。クルマづくりそのものも変わるはずです。今はドアと言えば、だいたいどのメーカーも同じようなものですが、ぜんぜん違うものが出てくるかも知れません。今と同じような接着剤の使われ方はなくなることも考えられます。私たちの商材が残っていくためには、どうしていくべきかを、今のうちに考えておく必要があります。自動車用接着剤のパイオニアとして何か新しい道を切り開きたい。もし時代が変わり、クルマの形が変わっても、その変化に対応できるように今のうちに準備しておくことがあるはず。そう思っています。

大学ではもともと生物学を専攻。生物の多様性などの基礎研究をしていました。大学でやっていたことが生かせるのでは思い、サンスターの会社説明会に参加。歯磨きの会社ということでエントリーしたのですが、実はそこで初めてサンスターが自動車関連のビジネスを展開していること、クルマの接着剤やシーリング材の大手メーカーであることを知りました。趣味が自動車だったこともあり、自然とその接着剤にも興味が湧き、入社を決めました。自動車関連でケミカル分野というと、必然的にサンスターになったんですよ。自動車業界にはふつう系列がありますが、サンスターはどの系列とも資本関係がありません。つまり、どの自動車メーカーとも一緒に仕事ができる可能性があります。もっと言えば、国内に限らず市場を海外に求めることもできます。クルマ好きの私には、ほんとうに夢のある話。興味持っていることを仕事にできるのは幸せなこと。モチベーションを持つのも、知識を得ようするのも、すべて興味が出発点。就活中の皆さんも、興味のある仕事にチャレンジしてみてください。