VALUE CHAIN
私たちが定めるバリューチェーンとは?


VALUE CHAIN
ハウス食品グループのめざす変革
ハウス食品㈱ スパイスバリューチェーン 新価値創出部 部長
T.E
1997年入社
1997年 : ハウス食品㈱ 奈良工場 品質課
2006年 : ハウス食品㈱ 資材部
(2010年 : ハウス食品㈱ 資材部 チームマネージャー)
2015年 : ハウス食品グループ本社㈱ 資材部 課長
2021年 : ハウス食品グループ本社㈱ グループ技術連携部 グループ長
2024年 : ハウス食品㈱ スパイスバリューチェーン 新価値創出部 部長
バリューチェーンとは何かについて教えてください。
バリューチェーンとは原材料の調達に始まり、商品の製造・出荷・販売・サービスといったビジネスの流れを、「価値の連鎖」として捉え、各セクションでハウス食品グループの強みや優位性を生かして付加価値を付けていく考え方です。例えば、当社独自のスパイスを調達し付加価値製品の販売につなげたり、カレールウなどの煮込み製品を工場での加工方法を工夫する事で、お客様は短時間の調理で美味しく煮込み料理を食べられる様にすることなどがそれに当たります。
ハウス食品は、これまでに多くのスパイスを取り扱ってきました。スパイスに対する知見を多く有しているので、それらを強みとして生かせると考えています。
私たちのようなメーカーが原料を集めて製品を製造し、お客様にお届けするまでのモノやお金の川上から川下に至る一連の流れをサプライチェーンと呼びますが、バリューチェーンではこの流れに独自の強みや業界内での優位性によって加わった価値の大きさがその評価の軸となるのです。
これをハウス食品グループが展開する、スパイスやカレー・調味食品などの香辛調味食品や、ウコンやビタミンなどの機能を活用した機能性食品、大豆から作られる豆腐やプラントベースフード、付加価値野菜など、強みや優位性を持つカテゴリーごとに分類、束にしたものがハウスグループの4つのバリューチェーンとなります。

ハウス食品グループがバリューチェーン視点経営で考えることになった背景を教えてください。
一言でいうと、「グループで保有する川上~川下の知見・技術の蓄積を融合させることで新たなビジネスチャンスを掴み、競争力強化につなげるため」ということです。
ハウス食品は2000年代に入り、米国や中国、台湾、タイなど海外での現地法人の立ち上げや、スパイスメーカーのギャバン、フードエンジニアリングを得意としワサビの自社栽培も行う商社のヴォークストレーディング、ご存じカレーレストランチェーンのCoco壱番屋など川上から川下まで幅広い企業をグループに迎え入れて成長してきました。
それにより、ハウスグループには原料の栽培・加工、海外との輸出・輸入、製品企画、製造、輸送、販売、外食チェーンなどほぼすべての機能・事業がそろう事となります。
しかしながら、多種多様な特性を持つグループ各社が別々に利益追求したのではグループとしてのシナジーを発揮することはできません。
そこで、グループ全体を俯瞰して見てそれぞれの特長を活かして、どこが中心になるべきか、またはどの企業と一緒に進めるのが良いかを考え、各社の個別最適ではなくバリューチェーン全体で収益を最大化させることにプライオリティーを置く、これこそがバリューチェーン経営の目指す姿なのです。現在では、グループ会社の部署長で定期的に調達技術検討会議を行い、どのような価値をグループ会社間で連携し合ってお客様にお届けできるか意見をぶつけ合っています。
ハウス食品では今、スパイスバリューチェーンにおいてどのような取り組みを行っているのか教えて下さい。
例えば日本茶の製法でハーブを加工したらどうなるか、開発者のふとしたアイディアから生まれた「深蒸しバジルのパスタソース」。Makuake(クラウドファンディングサービス)での100食の先行販売で即日完売し、昨年ハウスの通販サイトで再販売しました。


原料はヴォークストレーディングが契約栽培するのですが、バジルには独特の香りがあり、そのためお茶用の加工設備が使えず、製造装置の選定や加工条件の検討を一から行っています。また、日本茶製法バジルの活用方法や商品企画、さらなる販売拡大にはハウス食品以外にも複数のグループ会社も加わったチームを作り、力を合わせて取り組んでいます。
その他、ハウス食品グループではインドネシアの自社圃場で本ワサビの栽培を行っています。日本固有のスパイスである本ワサビは栽培が難しく、成長に時間も掛かることから海外で大規模に栽培に取り組む企業は当社以外には日本にはありません。グループの商社であるヴォークストレーディングでは現地に子会社を設置し長年に渡って栽培に取り組んだ結果、現在では一年を通して安定的に本ワサビを供給できる体制を整えることができています。この強みを活かして日本ならではのスパイスを、日本国内のみならず世界に向けて発信していこうと当社が既に事業を展開しているアメリカ、中国、インドネシアなど各国の市場に向けた取り組みを進めています。



今後の展望について教えてください。
ハウス食品グループはグループの拡大とバリューチェーン経営によってこれまでになく、
各社、各人が全社最適視点で取り組める環境が整い、さらなる事業成長に向けた土台ができてきています。
課題があれば皆で考え、個社では利益を落としてもグループ全体で稼げるのであればGOの判断をする、新しい技術が出てくれば複数社が製品化や事業化に自ら手を挙げて取り組む、そんな事例がいくつも生まれてきています。
私達はこれからも継続して自社で保有している川上の素材の価値や技術優位性を活かし、グループ会社固有の知見とを組み合わせながら、ビジネスチャンスを最大化していくことにハウス食品グループ一丸となって取り組んでいきます。
お客様の声をしっかり聴き、それを踏まえた新価値を創出していくことも大事です。
新価値を創出し、日本で、そしてグローバルにお客様へその価値をお届けすることを仲間として一緒に実現していきたいですね。
スパイス系以外のバリューチェーン
大豆系バリューチェーン
PBF(Plant Based Food:植物性食品)である豆腐の米国・米国以外での事業拡大や、豆腐以外のPBF領域の拡充を進めています。
機能性素材系バリューチェーン
乳酸菌・ビタミン・スパイスの活用の幅を広げています。国内だけでなく、アセアンや欧米での事業展開を進めています。
付加価値野菜系バリューチェーン
アグリ(農業)の領域で新たなビジネスモデルの創出にチャレンジしています。