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イノベーティブに会社を変えるエイベックスの挑戦


エンタテインメントを軸として幅広い事業を展開するエイベックス株式会社。トレンドの先を見つめつつ、企業としては大胆な構造改革など斬新な取り組みをおこなっています。そうした独特な企業活動を支えるのは、ほかならぬ人の力。ふたりの人事担当が、会社や採用活動への想いを語ります。

※内容は全て取材当時のものです

エンタメらしいオリジナリティあふれる選考を通して自分らしく働ける会社

次は一体どんな選考が待っているんだろう……?いつになったら終わるんだ──?
北原鮎子は、就職活動をそのように振り返ります。

北原「2002年に新卒採用で入社したんですが、確か8回くらい選考があったんです。いわゆるエントリーシートの提出や筆記試験もありましたが、とにかく独特な試験ばかりでした。筆記試験がようやく終わったと思ったら、『今から紙を裏返して 5秒で絵を描いてください』とか」

何も思いつかず、単に名前が鮎子だから魚だ!と思って魚を描いてみると、逆に意味不明で良かったのか、なんとか選考を通過。一安心したのもつかのま、今度は会議室の一室によばれ、入ってみると砂時計がひとつ置かれているだけ。
面接官はそれをひっくり返すとたった一言「3分です。はいどうぞ」と面食らう質問が続きました。その後の選考も嫌いなアーティストを聞かれたり、当時人気だった六本木のクラブの壇上でプレゼンさせられたり……。

北原「一体次はどんな選考になるんだろう?という予測不可能な選考ばかりでした。最終面接なんて『1から20まで足したらいくつですか?』って聞かれて……。質問の意図が全然わからない(笑)。この会社の選考で就職活動を終えようと決めていたのに、いつまで経っても終わらなくて」

北原は、予想外続きの選考に戸惑いながらも「ありのままの自分を見てもらっている」とも感じていました。思いがけない角度からの質問や要求には、ごまかしがききません。やがて、この会社なら自分らしく楽しく働けるんじゃないか、と考えるようになっていったのです。

北原「もともと“人の心を動かす仕事をしたい”と考えて就職活動をおこなっていたんですが、実はそれって考え方次第ではどこでもできることなんですよね。仕事に対してどんな姿勢で臨むか、という自分次第で。だとすれば、一番自分らしく働ける、一番楽しく働けそうな会社に決めようと思いました。
エイベックスは BtoC向けのコンテンツ制作会社で、自分の求めるイメージに近い企業でした。働いている自分がクリアにイメージできましたし、若いうちからいろいろと挑戦できる社風にやりがいを感じた。それで『ここだ!』と思い入社を決意したんです」

入社後は販売促進部や営業部に所属。2010年から人事部に所属し、2019年現在は人事企画・採用・研修を担当しています。そのほかにもこれまで保育園の誘致や社員食堂の企画など、幅広いプロジェクトに携わってきました。

北原「基本的には人事企画というか、さまざまな制度の構築や運用などを中心におこなっています。でも、あるとき『人手が足りないから……!』と、大学の企業説明会へヘルプで出向くことになったんです」

それこそがまさしく、小川との出会いの場となるのでした。

「一緒に働きたい」と直感

父親は演歌歌手、自身も幼少期から役者経験あり……という経歴だけ見ると、小川尚信は異色な人材に見えるかもしれません。
しかし実際は、草食男子のような見た目とは裏腹に、エンタテインメントへの情熱を秘めた熱い男です。

小川「芸の道を究めるか、就職するか。悩んでいたときに大学で企業説明会が開かれたんです。正直、どの企業の話も全然心に刺さらなかったんですが、1社だけは全然違った。それがエイベックスで、そこにいたのが北原さんでした。
端的に言うと、北原さんは一人ひとりの学生の目を見て話してくださっていたんです。直感的にすごく惹かれて、もっと話を聞きたいと思いました。それで、その場にいた友人と『詳しくお話を聞かせてください』とお願いすると『じゃあ、ランチに行こう』と」

その場でも自分の経歴や希望を話したところ、北原はきちんと耳を傾け、肯定してくれました。それも「こういう点は仕事で生かせるね」「この経歴は当社に合うと思う」と、真摯な答え方が印象的だった、と小川は振り返ります。

小川「『こんな大人になりたい』『この人と働きたい』という想いが高まり、絶対に入社すると決意しました。それで選考を重ねたんですが、演歌が得意だと言うと『歌ってみて』と言われて。面白い選考だったなと思った数日後、偶然にもあるバーでその面接官とばったり会ったんです」

会社との強い縁を感じ、内定が出た時点で「絶対に行きます!」と小川は即答しました。

実は、北原も小川に同様の縁を感じていました。

北原「原則、人事の OB/OG訪問は受けつけていなかったのですが、彼の大学の卒業生は弊社にほとんどおらず、このまま私が断ったら採用するチャンスが遠のく気がして……。なので、自己判断で OG訪問を勝手に受けました(笑)。この子はエイベックスに絶対に合うと直感したので、逃してはいけないと思ったんですよね。
印象的だったのは、手土産に菓子折りを持ってきたこと。芸の世界で生きてきたというバックグラウンドを知れば納得できますが、その時は随分しっかりした学生さんだと思ったと同時に、自分の勘は間違っていなかったと確信しました」

その後小川は見事エイベックスの内定を勝ち取り、2012年に入社。CDやDVDのパッケージ営業や配信担当の営業としてサブスクリプションサービスのローンチなどに携わったのち、CEO直下の部門で戦略人事の担当に。人事部と連携しながらも、より経営に近い立ち位置から未来を見据えた人事施策を考案・提案するのがミッションです。

“人事”という共通項を通して、ついにふたりは同じフィールドで働くこととなるのでした。

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内なる想いを真摯に見つめ、異端も非常識も恐れない強さを探せ

“Really!Mad+Pure”というエイベックスの企業姿勢は、異端であることを恐れない強さを表現しています。

小川「全社的な構造改革に取り組んだ際に、当社ではタグライン(企業理念)も改めて定義しました。
2019年現在、エイベックスでは “Really!Mad+Pure ”というタグラインのもと、『おかしいんじゃないの?(Mad)』と思われることも真摯に(Pure)追い求め、世の中にマジで!?(Really!)を届けつづけると標榜しています。
たとえば、僕の演歌だって見方によっては『なんでエイベックスで演歌なの!?』という疑問でしかないかもしれない。仕事に直結する強みかどうかもわからない。でも、それを逆におもしろい魅力だと捉えてくれるのが、エイベックスらしさなんだと思います」

小川の想いの根底には、エンタテインメントへの情熱が常に息づいています。その強さがしなやかさとタフさを併せ持つ個性となって彼を輝かせている。北原は企業説明会での出会いで、その光を見逃すことなく見つけ出していたのでした。

そうした輝きは誰にでもある、と北原は考えています。自分の強みや興味を真剣に深堀していけば、そこにはほかならぬアイデンティティが見えてくる──。そうした目を持つことも、人事担当としての北原のミッションのひとつです。

北原「最近は面接対策などもきちんとしている学生さんが多く、そつなくこなせる人が増えてきました。でも、いくら模範解答を積み重ねても “自分らしさ”は出せなくて、良さを見せるための準備が逆に個性を失わせてしまう。それってもったいないですよね。
私自身、就職活動で語れるような、ひとつの事を深掘りしつづけてきた経験や、オリジナリティのあるアピールポイントが何もなかったんです。
でも強いて言うなら“目の前に与えられた物事に忍耐強く取り組みながら、その環境を最大限楽しむ力”が自分のアピールポイントでした。学生の皆さんもそういう目線で自分を深く見つめ、真の魅力に気づいてほしいなと思っています」

捉え方次第で、誰にでも強みとなる個性がある。
捉え方次第で、一見無駄だと思われることもすべて糧になる。

常識や既成概念という枠組みの外側と、どこまでも深い自分の内側。
そこに光る何かを見つけられれば、そこからエイベックスの想いと響き合うものが見えてくるかもしれません。

“出社するのが楽しみな会社”へ
地道に、大胆に、イノベーションを起こす

当初、北原の目に小川は“非常に育ちの良い子”として映りました。

北原「それは家柄とかではなく、ご両親からきちんと愛情をかけて育ててもらったということ。彼に関して言えば子役や付き人としての経験もあり、端々から芯の強さやタフさも感じられました」

実は、選考段階では「良い子過ぎて大丈夫か?」という意見もあったそうです。エンタテインメントの世界は、決してキラキラした華やかな面ばかりではありません。むしろそれは氷山の一角で、地道で泥くさい仕事にも純粋な想いで向き合い、乗り越える強さが欠かせないからです。
しかし、それは杞憂でした。

小川「仕事では“自分から手を挙げる・頼まれたら断らない”のが信条です。『何かあればまず小川に相談してみよう』と思われるように。正直、忙しくて大変なときもありますが(笑)。依頼してもらえるって幸せなことですから、チャンスには食らいつきたいんです」

北原「本当に当事者意識がすごいんです。それに、営業として事業の現場も知っているし、経営陣にも問題提起できる。そうやって会社を巻き込み動かしていくわけですから、なるべくして戦略人事担当になったんだと思います」

小川「人事はもともとまったく想定していなかった職種でしたが、実際に就いてみるとハマってしまいました。
“最高の二番手”というか、自分自身がスポットライトを浴びるのではなく、他の誰かが輝いたり夢を実現したりするのを応援する立場。その姿を見ることに喜びを感じ、仕事がすごく楽しいです」

北原と小川も、組織は違えど想いは同じ。泥くさい現場目線を失うことなく、いかに会社を良くしていくかという一念で、日々奔走しています。
目指すは、全社員が「明日、出社するのが楽しみ」と思える会社。常識や既成概念にとらわれることなく“Really!Mad+Pure”を体現できる会社。

小川「ゆくゆくは、人事と戦略人事が統合していくフェーズが訪れるだろうと思っています。エイベックスをもっと良くしていくために、これまで以上に有機的な連携を図っていきたいです」

北原は人事部として採用や研修の領域から、小川は戦略人事としてグループ横断的な立場から。それぞれの立場とミッションにおいて、ときに異なる目線を持ち、ときにがっちりとタッグを組みながら、人事という領域からエイベックスの未来を紡ぐために協業しています。

常に進化し、イノベーションを起こす人事を目指せ――。北原と小川の大いなる野望は、まだまだ実現の途上です。
彼らが描く新しい人事、新しいエイベックスが、世の中に次なる“Really!”を届ける日は、すぐそこまで迫っているのかもしれません。

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