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CROSS TALK クロストーク

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あの人気製品は、こうして生まれた!
開発メンバーが語る製品開発の裏側

「サンミー」や「フランスシリーズ」など、数多くの人気製品を打ち出してきたYKベーキングカンパニー。いずれの製品も消費者に大人気ですが、開発体制に関してはその多くがベールに包まれています。果たして、どのような体制で開発に臨み、人気製品を生み出しているのでしょうか。開発を担当している二人の社員に、製品開発の裏側について聞いてみました!

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製品開発部 関西製品開発課
近藤 絢香さん
2017年入社
生命科学研究科生命医科学コース修了
(開発担当)

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マーケティング部 営業企画課
浦﨑 優子さん
2003年入社
農学部植物資源学科卒
(企画担当)

開発の流れ
試作と改良を幾度となく重ね、完成度を高めていく。

――まずは二人の担当業務について教えてください。

近藤(開発) YKベーキングカンパニーの製品開発は、企画や開発、営業、製造など、さまざまな部門の社員がプロジェクトを結成して開発するケースと、企画と開発担当の社員が中心となって開発するケースがあります。私は開発担当として、主に新製品の開発を任されています。毎月、2~4品の製品を開発するので、常に頭の中は新製品のことでいっぱいです。

浦﨑(企画) 私は開発担当として経験を積んだ後、営業企画課に異動し、現在は製品の企画を担当しています。具体的には、市場分析を行い、営業担当から現場のニーズを聞いたうえで、どのようなテーマで製品を開発するか検討。企画書をつくって開発メンバーと共有し、製品の方向性を定めています。

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――製品開発の流れについて、具体的に教えてください。

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浦﨑(企画) 新製品の開発は、発売日の半年以上前にスタートします。たとえば6月に発売する製品の場合、前年の10月初旬に動き出します。まずは製品の大まかなテーマを作成し、製品のラインナップに落とし込んでいきます。そして、提案資料を作って開発会議で提案。試作づくりを開発担当に依頼します。

近藤(開発) 試作品ができたら次の会議で提案し、メンバーに試食してもらいます。会議で得た意見をもとに、試作品をブラッシュアップしていきます。試作品を量産化に持っていくための「ラインテスト」も、大切なプロセスです。実際に工場でラインテストを行い、問題なく量産できるような体制にもっていきます。試作、会議での試食、改良のプロセスを繰り返しながら完成度を高めていき、最後に役員に向けて最終提案をします。役員の了承を得たら、正式に「発売決定」となります。

浦﨑(企画) 役員会議を実施する時期、私は営業担当にサンプルと資料を配布し、新製品の狙いや方向性について説明します。そして、役員会議で新製品の発売が正式に決定したら、「商談用サンプル」を生産。営業担当が商談用サンプルを持参して、バイヤーとの商談に臨みます。

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開発の思い出
ヨンミーやホワイトクロワッサンができるまで。

――これまで担当した開発で、最も印象に残っている製品は?

近藤(開発) 毎年12月に発売している季節限定の「ホワイトクロワッサン」が印象に残っています。開発担当になって間もない頃に担当した案件で、初めて生地を一から開発しました。知識も経験も浅かったので、先輩に相談しながら開発を進めていったのをよく覚えています。

浦崎(企画) ホワイトクロワッサンはその名の通り、白いクロワッサン生地に特徴があるんですよね。

近藤(開発) 過去に白い生地のクロワッサンを発売した実績があるので、当時のレシピを参考にしようと思ったら、すでに取り扱いがない材料があって。そこで、改めて材料を検討して、配合を調整していきました。2019年12月に発売を開始したのですが、営業から「バイヤー様から良い評価をいただいている」とフィードバックをもらった時はすごく嬉しかったですね。

浦﨑(企画) クロワッサンを焼く工程で、白さを維持するのはとても大変。白さを重視すると美味しくならないし、美味しさを重視するとどうしても色がついてしまう。技術的な課題を近藤さんが解決したんですね。

ホワイトクロワッサンIMG_8936

近藤(開発) ありがとうございます。支えてくれた先輩方のおかげです。ホワイトクロワッサンはその後も毎年、改良を重ねているんですよ。浦﨑さんは、どの製品が印象に残っていますか?

浦崎(企画) 「ヨンミー近畿ふれあい旅」です。

近藤(開発) もともと当社では、ビスケット生地にクリームをサンドし、チョコをトッピングした3つの味で構成されている「サンミー」を関西圏で発売してきたんですよね。

サンミー&板チョコ断面IMG_9400-

浦崎(企画) そう。関西のソウルフードとして長く愛されている人気製品です。サンミーに一味加えた「ヨンミー」も人気で、関西の特産品を使用したヨンミーを「ヨンミー近畿ふれあい旅」として、隔月で1年間にわたって発売することになったんです。

近藤(開発) その企画を、浦﨑さんが担当したのですね。

浦崎(企画) すでに同様の企画を2回実施してきたので、これまでの企画との差別化を図ることに。「農園」や「品種」というこだわりを設けて材料を探したのですが、なかなか良いものが見つからない……。

近藤(開発) 大変でしたね。

浦﨑(企画) そこで発想を転換して、当社の既存取引先にも協力を仰ぎ、生産者を紹介してもらい直接訪問もしました。その結果、ブルーベリー農家やお茶園など、さまざまな生産者との繋がりができ、1年間の企画を乗り切ることができました。

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近藤(開発) 私たち開発の仕事って地道な努力の積み重ねですね。製品開発と聞いて多くの学生さんが「華やかなイメージ」を抱くかもしれませんが、実は真逆の立場にいる。

浦﨑(企画) そうですね。でも、一つの製品を自分たちの力で生み出すことができるのだから、やりがいに満ちた仕事だとも思います。自分で考えた企画が評価された時は、特に嬉しいですね。

近藤(開発) 私は開発を担当しているので、消費者の皆さまに「美味しい」と感じていただけることが一番のやりがいですね。SNSで「YKベーキングカンパニーのパンは美味しい」という消費者の声を読むたびに、元気をいただいています。

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未来に向けて
チャレンジし続ける姿勢が、ロングセラー製品を生み出す!

――開発の立場から見て、YKベーキングカンパニーのパンの
「強み」や「魅力」はどこにあると思いますか。

近藤(開発) 私はチームワークだと思います。企画や開発、製造、営業と、あらゆる部門の社員がアイデアを結集して、製品開発に取り組んでいるから。みんな、「お客さまのために、美味しいパンを作ろう」という思いで開発に取り組んでいるし、メンバー同士の仲も良いから、本音で意見を交わすことができる。本気でパン作りに挑んでいるからこそ、YKベーキングカンパニーのパンは長くお客さまに愛していただけているのだと思います。

浦﨑(企画) 近藤さんが言ってくれたように、当社はロングセラー製品をたくさん持っていますよね。これは、長い歴史をもつ当社ならではの「強み」かもしれません。時代とともにお客さまの嗜好が変化しているので、ロングセラー製品も節目ごとに開発メンバーで話し合いながら、レシピやパッケージデザインをブラッシュアップしています。

近藤(開発) 先輩が開発した製品を私たちの代でさらに美味しく、魅力的な製品にしていく。こうやって考えると、YKベーキングカンパニーの開発マインドを後輩たちに引き継いでいくことが、私たちの使命なのかもしれませんね。

――これから先、成し遂げたい目標はありますか。

近藤(開発) 「自分が開発したパンで、人々を笑顔にしたい」という思いでYKベーキングカンパニーに入社したので、この目標をかなえたいですね。また、最近は安心・安全への意識がより一層高まっているので、「笑顔と安心」をスローガンに開発に取り組んでいくつもりです。

浦﨑(企画) 私自身が自由にのびのびとやりたいことにチャレンジさせてもらってきたので、後輩たちにものびのびと開発に取り組んでほしいと思っています。若いメンバーが「新しいことにチャレンジしたい」と思った時、常に応援してあげられる先輩であり続けたいですね。

――これから入社する学生の皆さんに伝えたいことは?

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近藤(開発) 開発では、枠に縛られることなく、自由な発想でアイデアをふくらませる姿勢が求められます。浦﨑さんが話してくれたように、「チャレンジする心」も重要です。食品や栄養系以外の学部出身者もたくさん活躍しているので、学部・学科に関係なく、「食べることが好き」で、「製品開発にチャレンジしてみたい」という方に入社してもらえたら嬉しいです。

浦﨑(企画) 当社のパンは、消費者の皆さまが日常的に食べるものであり、それだけに、「いかにして手頃な価格で美味しい製品を提供するか」が大切になってきます。そのため、限られた予算の中で材料や配合、生産方法などを工夫する必要があります。苦労を伴う仕事ではありますが、自分の考えを製品に反映させ、トライ&エラーを繰り返しながらより良い製品にしていくのは、意外と楽しいもの。成長実感を得られる仕事でもあると思うので、多くの方に興味をもっていただきたいです。皆さんのチャレンジに期待しています!