特集05_感染症領域について

世界を感染症の脅威から守る

感染症との闘い

2019年末から翌年にかけ、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界中で確認され、日本においても同年4月7日、政府により緊急事態宣言が発せられるに至りました。健康や経済活動といった面から、既に我々の生活に多大な影響をもたらしています(本記事掲載2020年4月14日現在)。

「目に見えない存在によって、ある日突然、生命の危機にさらされる。そして、時に自分自身が媒介者となってしまう。」感染症にはこういった恐ろしさがあります。

古くは天然痘、ペスト、スペイン風邪(インフルエンザ)などからはじまり、近年においてはHIV、SARS、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱など、人類は常に感染症の脅威にさらされてきたと言えます。

SHIONOGIは、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。

この記事では、現在人類の脅威となっている病原体と、それに対するSHIONOGIの活動を一部ご紹介いたします。

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HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

HIVは、ヒトの免疫細胞の機能を破壊し傷害を与える特徴を持つウイルスで、進行により感染者を免疫不全に陥らせます。免疫不全状態では、感染症やがんなどの疾患に罹りやすくなり、生存確確率が著しく減少します。感染者は世界で3500万人以上と言われ、毎年100万人の命を奪っています。

SHIONOGIは、優れた効果と安全性を有し、薬剤耐性が生じにくいHIVインテグラーゼ阻害剤「テビケイ」(一般名:ドルテグラビル)を創出することに成功し、HIV治療に大きく貢献してきました。現在、「テビケイ」は、米国、欧州および国内の抗HIV治療ガイドラインにおいて治療未経験患者さまの第一選択薬の1つに位置付けられ、すべてのHIV感染患者さまに対して重要な治療の選択肢となっています。

HIV治療は発展してきたものの、暴露される薬剤をより少なくする、投薬の頻度を少なくするなどのさらなるQOLの改善が望まれています。これらのアンメットニーズに応えるためにも、これまでの研究に加え、持続注射剤や根治薬の研究開発に注力しています。

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結核/NTM(非結核性抗酸菌)

結核の新規患者は全世界で年間1,000万人以上と報告されており、またHIVとの重複感染が多いことも非常に大きな問題になっています。

結核領域では、非常に活性が強く、新規作用機序の低分子リード化合物を有するHsiri社と共同研究をスタートしました。このように外部連携を積極的に活用することにより、結核と同じ抗酸菌である、非結核性の抗酸菌を起炎菌とするNTM症と結核の両方を見据えた創薬を推進していきます。

マラリア

マラリアは、エイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の1つであり、主に熱帯、亜熱帯地域で流行している感染症です。地球温暖化等の気候変動により流行の分布が変わり感染が増加するとの報告もあります。

SHIONOGIは、長崎大学と提携して、国内外の産学連携による新たなオープンイノベーション拠点の核となり、マラリア撲滅を目指したプラットフォームを構築する取り組みを推進しています。

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薬剤耐性(AMR)

耐性菌による死亡者数はグローバルで年間70万人と報告されていますが、このまま何も対策を講じなければ、2050年にはがんによる予測死亡者数を上回ることになり、今やAMRは、現実的かつ喫緊のグローバルな脅威となっています。また、世界経済にも大きな影響を与えかねない重大な課題であり、社会に対して直接的・間接的に深刻な損失をもたらす可能性を有しています。

SHIONGOIが創製した感染症治療薬候補セフィデロコルは、WHOが緊急性が高く重大と位置付けている3種のカルバペネム耐性菌に対応できる貴重な薬剤として期待されています。

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インフルエンザ

インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症で概ね冬季に流行します。数日の潜伏期間の後、発熱、全身倦怠感、関節痛などが現われ、その症状は普通感冒よりも相当に強いとされています。高齢者や小児、基礎疾患を有する人が罹患すると重症化することがあり、身近な感染症でありながら重大な脅威として取り扱われます。

SHIONOGIはインフルエンザ検査キット「ブライトポックFlu・Neo」、インフルエンザ治療薬(点滴製剤)「ラピアクタ」、インフルエンザ治療薬(内服)「ゾフルーザ」を提供しています。最近ではワクチン事業に参入し、インフルエンザ予防ワクチンの研究開発を進めています。

「ゾフルーザ」については、適正に患者さまに使用いただけるよう、耐性株に関するサーベイランスを実施し、積極的な情報開示を行なっています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

2019年末以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がりました。感染力が強いことは明らかですが、潜伏期間や治療法などの知見が十分でないことから世界各国での都市封鎖が行われるなど、本記事作成時点(2020年4月14日)においても大きな混乱を引き起こしています。

SHIONOGIは、医薬品の安定供給に努めるとともに、感染症を重点疾患領域に掲げる製薬企業として、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬やワクチンの開発などに鋭意取り組んでおります。

新型コロナウイルスに対するSHIONOGIの取り組みはこちらでご紹介しておりますので是非ご覧下さい。

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SHIONOGIのR&D(研究開発)説明会資料から一部抜粋します。

興味がある方は是非一度リンクから全体をご確認ください。

  • Beyond 2020における感染症領域

    Beyond 2020における感染症領域

    SHIONOGIの2020年以後の重点領域は、「感染症」「精神神経疾患」「新たな成長領域」が挙げられています。感染症治療についてはリーディングカンパニーとして、世界を感染症の脅威から守ることを宣言しています。
  • 感染症薬の研究開発ビジョン

    感染症薬の研究開発ビジョン

    感染症の研究開発のビジョンとしては、「社会・医療ニーズに応える感染症トータルケアの実現」を掲げており、「治療」という従来型のソリューションの更なる強化はもちろん、ワクチン事業参入をきっかけに「予防」あるいは「根治」を視野にいれた貢献の実現を目指しています。
  • HIVの根治へ

    HIVの根治へ

    HIVについては、現在SHIONOGIが創製したドルテグラビルシリーズが世界の患者さまに貢献していますが、現在開発中の新薬は投与回数を減らすことで患者さまが服用する度に受けるストレスの軽減が期待されています。また、創薬部門では、究極的な目標としてHIV根治に貢献できる新薬の創出に努めています。
  • ワクチン事業への参入

    ワクチン事業への参入

    SHIONOGIはUMNファーマの完全子会社によりワクチン事業に参入することとなりました。予防ワクチンのみならず、治療ワクチンの創製によりシオノギの感染症領域の強みをさらに発展させます。
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して

    渦中のCOVID-19については北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンターとの協業により創薬に取り掛かっています。また、IgG/IgM抗体検査キット製品の導入に向けたマイクロブラッドサイエンス社との業務提携に向け協議を行う、ワクチン開発の研究に参画するなど、迅速かつ冷静にニーズに応える活動を行っています。
  • ゾフルーザの開発

    ゾフルーザの開発

    インフルエンザ治療薬ゾフルーザについてはロシュグループと連携して開発を進め、日米欧台で承認を取得しています。
  • 変異株のサーベイランスに対する取り組み

    変異株のサーベイランスに対する取り組み

    I38変異株の市中での流行状況およびI38変異株が臨床症状に及ぼす影響を広く確認するためサーベイランスが重要と考えており、数シーズンにわたって国内、および海外でサーベイランスを積極的に実施し、I38変異株の特徴、伝播能について継続評価し、結果を積極的に公表してまいります。

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感染症領域での基本方針の具現化

いかがでしたでしょうか。全てではありませんが、人類の脅威となっている代表的な感染症と、シオノギの活動をご紹介させて頂きました。決して簡単な分野ではありませんが、SHIONOGIは常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供するという基本方針の下、世界を感染症の脅威から守るべく日々努めています。

※この記事は2020年4月14日に作成されたものです。研究開発活動については以後の進捗により変更が生じます。

※この記事は求職中の方に当社を理解して頂くために掲載されるものであり、製品の宣伝、医学的アドバイス、または投資勧誘といったものを目的としたものではありません。本資料の利用の結果生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いません。

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