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CROSS TALK

SONY×MBS

今泉 彰太

SYOUTA  IMAIZUMI
ソニーマーケティング株式会社
B2Bプロダクツ&ソリューション本部

今井 泰徳

YASUNORI IMAI
ソニーマーケティング株式会社 
B2Bプロダクツ&ソリューション本部

樋口 達大

HIGUCHI TATSUHIRO
株式会社毎日放送
経営戦略局DX推進部

次々と生まれるテクノロジーを駆使して。放送局の新たなる挑戦とは?

Profile

Roles and rewards.

クラウド・AIを活用した映像制作ソリューションを中心に、商品企画とマーケティングチームを兼務。新しいテクノロジーを学びつつ、どんなソリューションを形作れば人の創造性をもっと引き出せるのか、お客様の運用は楽になるのか、試行錯誤の日々を送っている。

今泉彰太

クラウド・AIを活用した映像制作ソリューションを中心に、商品企画とマーケティングチームを兼務。新しいテクノロジーを学びつつ、どんなソリューションを形作れば人の創造性をもっと引き出せるのか、お客様の運用は楽になるのか、試行錯誤の日々を送っている。
AIソリューションの提案を中心に、マーケティング部とソフトウェア開発チームを兼務。開発者としての目線を持つことで、AIが得意とする部分の活用や、扱う人とのコラボレーションを意識して提案を進めている。AIを自動化だけに使うのはもったいない! もっと面白い使い方ができないか、日々模索中。

今井 泰徳

AIソリューションの提案を中心に、マーケティング部とソフトウェア開発チームを兼務。開発者としての目線を持つことで、AIが得意とする部分の活用や、扱う人とのコラボレーションを意識して提案を進めている。AIを自動化だけに使うのはもったいない! もっと面白い使い方ができないか、日々模索中。
テレビマスター、情報システムを経て現在のDX推進部へ。入社3年目。ネットワークなどのインフラ管理や社内のシステム開発を主に担当。時には現場へ出向き、時には自分で手を動かしながら、放送局におけるデジタルトランスフォーメーションとは何なのかを探るために奮闘している。

樋口 達大(MBS)

テレビマスター、情報システムを経て現在のDX推進部へ。入社3年目。ネットワークなどのインフラ管理や社内のシステム開発を主に担当。時には現場へ出向き、時には自分で手を動かしながら、放送局におけるデジタルトランスフォーメーションとは何なのかを探るために奮闘している。

ソニーとMBSのつながり

樋口:テレビマスターと現在の部署を経験した僕が知っている範囲だけでも、カメラはソニー製のカメラですし、記録メディアとしてソニーが開発したHDCAMやXDCAMが全世界で使われています。とてつもないシェアですよね?

今泉:ソニーは映像音声に非常に強い会社です。放送局さんとの繋がりが強くなったというのはビデオテープレコーダー(VTR)の製品化からだと思います。ニュース取材など、フィルムで撮影するしかなかったものがビデオテープでとれるようになり、フィルムを現像するまで確認できなかったデータがすぐに確認できるようになった。これをきっかけにソニーと放送局さんとのつながりは強くなり、カメラやマイクだけでなく、モニターや映像編集まわりにいたるまでソニー製品のものが増えました。

今井:製品の販売をきっかけに放送局の皆さんからは率直な悩みを聞く機会が増え、ハードウェアから派生してソフトウェア周りの製品もかなり増えました。ちょうど僕が担当しているAI製品なんかもここ数年で本当に様々な映像処理や音声処理ができるようになっています。意見交換や提案をしあう中で、一緒にものづくりをしているというか、お互いに発展しているという感覚です。

樋口:現在取り組んでいる、弊社の70周年記念ドラマの制作においても、そうですよね。

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放送局のドラマ制作におけるDX化

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今泉:まさにそうです!いまMBSさんと一緒にやらせてもらっている挑戦は大きくまとめると2つあって、1つはクラウド上での素材管理です。それぞれクラウド上に保存した沢山の映像データの中から、必要なデータだけを見つける作業はものすごく大変な作業なんです。そこで、クラウド内でデータを整理された状態で保存できるようにして、データを見つけやすい状態にすることで、放送局のみなさんの業務っていうのがだいぶ楽になるんじゃないか・・・と!

樋口:撮影データをどこに保存したかわからなくなったり、ハードディスクを紛失してしまう恐れもないし、何より、”働く場所を選ばない”となると働き方改革にもつながりますし、これが実用化されれば制作現場にとっては革命ではないでしょうか。

今井:もう一つがAIを用いた、あらゆる単純作業の自動化です。「えっ?これ本当に人がやらなきゃいけないの?」っていう仕事っていっぱいありますよね(笑)そこでAIの力を使うと自動化ができます。何が良いかというと、同じ時間で今までよりも多くのものを作り出すことができます。単純に言うと仕事が楽になりますよね。そうすればあまりクリエイティブじゃないところはAIにやらせて、作品の方向性や演出などコンテンツの内容の魅力を高めるためのクリエイティブな仕事に人のリソースを集中できます。

樋口:テレビ局って、深夜までずっと仕事をしてて、廊下でスタッフが寝てて・・・みたいな想像をされることが未だにあるんですよ(笑)。撮影した素材の仕分けや物理的なメディアの運搬などに時間を奪われてしまっているのは否めないですね。そういうところを変えていけるっていうのはすごく画期的ですね。これからどんどん働き方が変われば、今働いている人もより効率的に働くことができるようになるし、何よりこれからクリエイティビティを持った人材がどんどん集まってきてくれたらとても嬉しいですね!

技術開発のプロセス

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今泉:今回の開発でも、まず「どういうことがやりたいのか」をお互いに徹底的に話し合いました。それからは実際に手を動かして、クラウド上に色々な仮想サーバーを立てて、その中で計算して・・・という作業の繰り返しでした。お互いに相談しながら、時にはMBSさんの制作チームが撮影した映像をサンプル映像としていただいてシミュレーションする、ということもありましたね。

今井:お互いに関係性が生まれてくる中で、MBSさんからは「更にこういうこともしたい!」という要望がでてきて、その要望にこたえるために何ができるのかというところを、一緒に考える作業でした。

樋口:例えば「自動でシーンを仕分けしたい」という要望に対して、「じゃあカチンコの情報をタブレットでQRコードにして、それを撮影してクラウド上で読み込ませましょう!」とかですね!

今泉:はい。今まで培ってきたMBSさんとソニーの関係が生かされているなぁと身にしみて感じました。最近、「DevOps(デブオプス)」という考え方が開発において重要視されています。「Dev(Development)=開発する」側がソニー、「Op(Operations)=運用する」側がMBSさんになりますが、互いに連携し協力し合うことで、フレキシブルかつスピーディーに開発が進み、初めて価値が生まれるという考え方です。

今井:今回のカチンコのアプリケーションの例では、最初はソニーから「現場ではこういう使い方をするだろう」とまず一回出しました。そうするとすぐに現場で使ってみて、「こうした方が良い、ここは要らない」という改善の提案をMBSさんからいただいて、また改良してというやり方を繰り返しましたね。これはアジャイル開発という言葉で表現されますけれども、そういうところで密な関係性が活かされたと思っています。

樋口:「DevOps」や「アジャイル開発」など最近のエンジニアは知っておいてほしい言葉がたくさん出てきました。このような社外との開発でも、MBS内での開発でもどちらにおいても大変重要な取り組み方ですね。

制作現場のDX化が進んだ未来は・・・?

今井:放送局の皆さんが労力をクリエイティブな分野に全集中できる未来になります!他にも、クラウド上で素材の管理ができるようになると、撮影した映像素材をすぐにチームで共有して見たり編集したりできるようになります!

樋口:部署によっては弊社でもテレワークが進んでいますが、今までテレワークがやりにくかったいわゆる「現場」と言われる制作や報道でも、こういう技術を使っていくと時間や場所の制約があっても働くことができたり、フレキシブルな働き方ができますね。

今泉:あえて心配な部分も述べると、素材のやり取りが便利になると同時に、セキュリティの担保というのも重要になってきます。オンエア前の映像が流出したら大事件!すぐにニュースになっちゃいますよね。セキュリティ面を担保しつつも協力している社外の方々とも素材を共有できる環境づくりはこれから重要になってきますね。

樋口:環境もそうですし、これからの放送局で働く人はセキュリティに関するリテラシーを身につけないといけないなと感じています。利便性と安全性は表裏一体と思われがちなんですが、使いやすくて安全な仕組みを我々のようなエンジニア部門から、各現場に提案・導入していくことが大切です。そしてその先にあるのは、場所を問わない働き方だと思います。ちょうど今制作をしている弊社の開局70周年記念ドラマの制作現場でも、東京にいる監督が大阪のMBS本社にいる編集マンに対して、クラウド上で同じ編集中の映像を見て指示を出すことができます。当然、監督やディレクターが編集マンの隣にいて密にコミュニケーションを取ってこそ良い作品ができるんだと主張する人もいますが、昨今のコロナ禍、働き方の多様性、コストとの比較など様々な観点でも番組を制作する手段の選択肢として持っておくことは非常に重要だと感じています。

今泉:今まで一緒に働きたくても働けなかった人と働けるようになったり、例えば東京や大阪などで働いていたけど、中心地を離れて生活しないといけなくなった人が、どこからでも仕事を続けていける、そんな”未来”をつくっている、と思うと本当に嬉しいです!

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ソニー社員が思う、テレビの「強み」と「弱み」

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今井:放送局はハイクオリティな映像を毎日たくさん放送しているので、映像コンテンツを作る力というのが圧倒的だと思います。 また、「地上波放送」という形態、つまり多くの人に一度に届けられる電波をもっている、という放送業界の仕組みそのものが強みだとも思います。その二つの強みを活かして、制作した面白いコンテンツを一斉に多くの人に届けることができて、それを1度だけでなく届け続けられる、というサイクルが他にはないテレビの凄いところだと思います。

今泉:僕は、実はいろんな制約がある中で常に最高の仕事を成し遂げていることが放送局のすごいところだと思うんですよ。1日も休まず放送しなきゃいけないので、すごくタイトな締め切り日がありますよね。放送時間の尺も決まっていて、一秒たりともずらすことができない。 生放送なんかは特に一秒たりともずれないように番組を終わらせるっていうすごくプロフェッショナルな技を皆さんはやっているわけですよね(笑)。 なおかつ、放送内容に関しても電波にのってありとあらゆる家庭に番組の情報は送信されて、受け入れられているわけですから、放送局の信頼と制作力はやっぱりすごいと思うんです。

今井:その反面、せっかく手間暇かけて作っているものが基本的に一回の放送で終わってしまうというところがもったいないなと思います。テレビに録画機能がついて、再放送が実施されるようになって 、最近はネットでの見逃し配信も主流になり、インターネットで同時配信も始まったりと着実に進化していますが、もう一段階、何かがあればと思うんです。この答えをこの記事を読んでくれている就活生の皆さん世代にぜひ見つけてほしいなと思ったり・・・(笑)

今泉:「弱み」というと、知らず知らずのうちに「枠」にとらわれがちになっていることなのかなぁと思ったりもします。今は放送波というもの以外に、様々な制約をとっぱらって誰でもいろいろ発信できる世の中になっているので、これまで「枠」がある中で最高の仕事を続けてきた放送局が培ってきた制作力で、「枠」を取り払ったコンテンツ制作というのができると大きく変わると思うんです。これはもしかすると、今の就活生の皆さんみたいな、デジタルネイティブ世代の人にしか思い付けないことかもしれないなと思うんです。そういうアイデアを我々も一緒に具現化していきたいと思っています!

樋口:なるほど!就活生の皆さん、宜しくお願い致します!

今泉:ソニーグループの存在意義としてパーパスが定義されているんですが、それが「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」なんです。でも我々は自分たちだけで感動を作り出しているかと言うと実はそうではなくて、今みたいに放送局の皆さんと一緒に協力して作り上げられるコンテンツを通して、自分たちのテクノロジーをより広く世界に届けることもできる。 自分たちの存在意義を満たすためには放送局の存在も不可欠だということになるんですね。だからこそ我々としても放送局さんの弱みを強みに変えていくことを「自分ごと化」していきたいと思っています!

樋口:やはり放送局ではコンテンツを作ることができる、その現場のすぐ近くで働いているという感覚は非常に大事だなと思いました。私たちから現場側にも、ソニーさんのようなベンダーにも色んな技術でアプローチしていけたらなと思います。

放送局のエンジニアに必要な能力

今泉:あえて放送局のエンジニアさんに限って考えると、数あるエンジニアという仕事の中でも放送局のエンジニアさんって最もエンドユーザーに近いところで技術の仕事をする人たちなんじゃないかな?という風に思います。ユーザが何をしたいか、あるいは自分たちはどういう映像を作りたいのかということをしっかりと把握する力が重要だと思います。きっと世の中には放送局の「現場の声」=「悩みや本音」 を教えてほしいと思っている人がいっぱいいて、それを解決できる技術を持っている人や協力をしたい!と思っている人もいっぱいいるので、そういった人たちと密に連携を取って取り組むことができれば、凄いものを作り上げることが可能になるんじゃないかなと思います。

樋口:そうですね、「現場に近い」というのは私も身に染みて感じていて。とは言え、毎日現場の仕事を見ることはできないもどかしさというところも感じていて。だからこそ、私たち放送局で働くエンジニアは、現場意識を他のスタッフと同様に強く持って、もっとこういうことができるんじゃないか?と考えながら働くことが非常に大事だなとお二人とお話していると痛感します。

今井:例えばソニーがどれだけアイデアを持っていたとしても、現場が諦めちゃうとそのアイデアを形にするということはなくなるんですよね。まず第一に、「こんな悩みがある」ということを知ることができないと、我々の技術も提供のしようがないですから。「ソリューション」というかっこいい言葉がよく使われますけど、誰かの困りごとを解決するから「ソリューション」なので、その困りごとや課題をしっかり見つける力というのが、放送局のエンジニアの方には凄く重要な能力なのだと思います。そしてその力があれば、様々な技術をもった企業と協力体制が築けるのだと思います!

樋口:なるほど。私も日々精進いたします(笑)!そしてこれからも密な協力体制で宜しくお願い致します!これから放送局で働こうと思っている学生の皆さんも、自分の身の回りのことで「もっとこうなればいいのに」「こんなことできないかな」と考えるクセをつけると良いかもしれないですね。

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