MBDと自動車の未来
当社は1990年代より、自動車メーカーと共同で
実機と仮想を組み合わせた【実車代替ベンチ(VRS)】を実現させてきました。
自動車開発工程のより早い段階からシミュレーションの技術を活用することで、
効率化を促進してきました。
最近では、AD/ADAS*ベンチなど、
自動車業界の変革に対応するシステムを開発しています。
*AD:自動運転
*ADAS:先進運転支援システム
VRS(Virtual & Real Simulator)とは…
実機(Real)と仮想(Virtual)を組み合わせた試験機。
エンジン、モータ、トランスミッションなど単体試験から実車両試験まで、様々な形態に対応。
部品単体の検証やユニットごとの統合試験の段階から完成車両相当の試験ができるため、
従来は実車で行うべき検証をより早い段階から行うことができ、
前もって不具合の修正が可能になります。
そのため、開発のフロントローディング(作業前倒し)が進み、
短縮された時間は、付加価値の創出に注力することができるのです。
また最近では、企画段階からモデルをつかって性能を考え、
設計と連携させるMBSE(=モデルベースシステムズエンジニアリング)の導入が進んでいます。
テキストの内容
「実機評価」はいらなくなる?
モデル(シミュレーション)で設計から検証まで完結するようになれば、
試作や実機評価が減り、より少ない工数で開発を進めることも可能になります。
一方当社は、試作後の「実機評価」を得意としてきた会社です。
モデルで作りこむ世界になれば、「実機評価」はいらなくなるのではないか、
ということも考えられます。
では、設計段階(=「実機なし」)で精度の高いモデルを構築するために何が必要か。
そこで必要になってくるのが、やはり確かな「実測値」なのです。
MBD(モデルベース開発)が推進されても、実機試験は検証と妥当性確認のために
必要となり、より一層高精度化が求められるようになります。(V&V)
「人の感じ方」へ挑戦
近年は自動車の新たな付加価値として、
人の感性に訴える「音質」や「乗り心地」が重要視されています。
そのような「人の感じ方」を設計段階から作りこむため、
当社では、実機に近い音・振動を再現できる【仮想運転空間】の開発を新たに進めています。