物性が変化していく繊細なお菓子を
機械で安定的に作りだしていく醍醐味
生産本部 生産技術開発部
2007年入社
現在の仕事内容
新規製造ラインの導入プロジェクトを推進
モノづくりへの興味から、大学では理工学部で機械工学を専攻し、入社後は工場で設備保全を担当。チョコレート製造設備のメンテナンスや製造ラインの改造などを経験後、設備技術の開発部署などを経て、現在は製造ラインの新規導入プロジェクトを手掛けています。
新しく製造ラインを立ち上げる時は、「既存製品の増産」「新商品の製造」など目的を明確にし、それに応じた製造ラインのコンセプトを設定することから始めます。次に製造工程の流れを具体化させ、複数の設備メーカーとの交渉を経て発注先を選定。発注後は当社の窓口として、設備メーカーと社内の関係部署を先導していきます。製作中の設備メーカーに伺い、ときには一緒に技術検証を行い、必要があれば手直しを依頼。設備が出荷される前に仕上がり具合を検査し、納入した後は当社工場で設置工事や試製造に立ち会い、現場スタッフと問題がないことを確認します。商品の本製造へ至るまでのこの過程を、数ヵ月から数年というスパンで行っています。
仕事のやりがい
経験を活かし、常に新しい可能性を模索
入社してもっとも魅力を感じたのが、「お菓子」という次々に物性が変化していくものをどのようにすれば機械で作り出せるのかを考えることです。複雑に生み出されるお菓子のおいしさを、人の手に代わって工場の製造ラインで再現するためには、幅広い知識とノウハウが必要なことに、面白さを感じました。
当時、ひと通りの機械の知識はあったものの、食品を扱う設備は特別な仕様のものも多いため、現場を通じて設備作業などを一から教わっていきました。設備の修理やパーツ交換を初めて一人で行えた時や、不具合に対する自身の解決策が新たな商品の規格に反映されて店頭に並んだ時は、目に見える成果を実感し、やりがいもより大きくなっていきました。
現在は製造ラインの設計に携わっていますが、製造上の大きな問題に直面することがあります。そのような時は従来のやり方だけに固執せず、他の方法をいくつも考え、ベストと思える方法を模索するようにしています。創意工夫を加えた設備や製造ラインレイアウトによって、機械がより安定的に稼働し、確かな品質を生みだせた時の充実感は、何ものにも代えがたいと感じています。
私の成長エピソード
根拠に基づく判断を重ね、ゼロからの設備開発を実現
入社後しばらくは、チョコレートの製造設備に携わっていましたが、入社9年目に、製法がまったく異なる「inゼリー」へと担当が変わりました。当時手掛けたのは製造ラインの新規導入プロジェクトで、具体的な目標は「増産」と「人員の削減」。既存の製造ラインでは人の手で行っていた作業を全自動化するため、特注設備の開発が求められたのです。世の中に存在しない設備を一から生みだす難しさと、「inゼリー」製造に関する自身の知識のなさが重なり、途方に暮れる思いでした。
しかし目標期日までは時間が限られており、「製造ラインの稼働には人の手が必要」という固定観念は、一旦すべて取り払って進めるしかありません。設備メーカーと何度も技術検証を行って、課題をひとつひとつクリアし、仕様を少しずつ詰めていくことで、なんとか期日までに稼働させることができました。
この経験により、知識や設備がゼロの状態からでも、関係者を巻き込みながら知恵を集め、小さな課題をひとつひとつクリアし、それを根拠にまた次の判断を決定していくことが、確実な目標達成への近道となり、問題が起きた時も軌道修正しやすいことを学びました。技術的な課題が多く非常に困難な仕事でしたが、プロジェクトを推進する際の自身の進め方の軸を確立できたと感じています。プレイヤーとして重ねてきたこのような多くの経験知を、将来は複数プロジェクトを統率する立場として還元することで、自身の新たな成長にもつなげたいと思っています。
※掲載内容は、取材当時のものです。