SEMINAR REPORT
HUMANAGE SEMINAR2020
VUCA時代、新卒採用の“これから”を考える
2020年10月6日、7日、8日の3日間にわたって開催された「HUMANAGE SEMINAR 2020 —VUCA時代、新卒採用の“これから”を考える」の模様をお届けします。例年、企業の採用ご担当者様に実際に会場にお越しいただき、今期の採用の振り返りと来期の戦略についてお伝えしてきた本セミナー。今年は初のオンライン開催で、延べ1,000名以上の方々にご覧いただきました。
サントリーホールディングス株式会社 人事部 杉田 幸平 様
2007年に入社後、首都圏をはじめとする日本各地の酒類営業職に9年間従事。その後大きくキャリアチェンジをし、2016年に人事部採用担当に着任する。採用戦略の企画・立案から実行までを幅広く手掛ける。
本田技研工業株式会社 人事部採用グループ 松井 翔太 様
2006年新卒で入社。二輪生産拠点(熊本)、基礎研究開発拠点(埼玉)、本社(東京)の3拠点で人事労務領域の業務を計12年間経験後、2018年10月より現職。新卒/キャリア採用グループのグループリーダーを務める。
三井物産株式会社 人事総務部人材開発室 室長 田渕 順司 様
1995年入社。財務や海外人事関連業務に携わった後、ITソリューションビジネスや環境ビジネスに従事する。その後も新規事業開拓や海外の関係会社への出向などのさまざまな経験を経て、2020年4月より現職に。
【1日目】サントリーホールディングス 杉田様
徹底的な「お客様視点」で捉えた採用活動
アルコールや清涼飲料水のトップブランドであるサントリーホールディングス。同社が2021新卒採用で貫いたこだわりは「お客様視点」だったと言います。メーカーとして商品を作り、最終的なお客様である消費者にお届けする際、どのプロセスにおいても必要な「お客様視点」。部活動や留学など、さまざまな事情のある応募者が応募できるように新設された採用日程も、それぞれの日程における採用予定人数や選考基準の公開も、応募者に寄り添うメンター面談も、応募者=お客様と捉え、お客様視点(応募者視点)ゆえの取り組みです。セミナーでは、ひとつひとつの施策について、背景を含めお話いただきました。
新型コロナウイルスが直撃し、選考活動を止めるべきか、進めるべきか?の判断も、やはりお客様視点だったそう。
「選考をどうするか?については、『学生の皆さんは今、どういう心境にあるのか』を何より重視しました。緊急事態宣言が出ている中で、学生の皆さんに意見を聞いたところ、『オンラインであってもいいから採用を続けてほしい』という声が多数だった。それを受けて、選考を全面的にオンライン化して進めようという意志決定をしました」
コロナ禍の新卒採用を振り返っては、以下のコメントをいただきました。
「VUCAの時代においては、常に『プランB』を設計しながら採用活動を進めなければなりません。2022採用に向けては、リアルの接点をオンラインの中にどのように組み込んでいくか、今年ためた知見をもとに、引き続き検討を進めていきたいと考えています」

【2日目】本田技研工業 松井様

「どうなるかじゃない、どうするかだ。」を体現する
世界のモビリティメーカー・Hondaが採用スローガンとして定めているのが、「どうなるかじゃない、どうするかだ。」という言葉。未来を切り拓くのは自分自身であるという、強いメッセージです。そのような想いのもと、文系職種における職種別採用の導入や、500名もの現場社員が協力して行われるリクルーター活動、リケジョお茶会、オンライン面談における面談官の工夫など、熱い志を持ってHondaで夢を実現する人材を採用する施策について、実際の光景(写真)も見せていただきながら、お話いただきました。
オンラインに切り替えた面接については、さまざまな想いがあったそうです。
「オンラインに切り替えたからこそ、オフライン(リアル)のありがたみがわかるといいますか……ただ、オンライン化にともない、面談官の年次を下げるなど、相互にマッチングをはかれるようにする工夫は行いましたが、面接の内容は特に変更していません。成し遂げたことや頑張ったことに対して、『どんな想いがあったのか』『なぜその行動を取ったのか』と学生の経験を深掘りしていく。リアルでもオンラインでも、これに尽きると思っています」
コロナ禍の新卒採用を振り返っては、以下のコメントをいただきました。
「大変だったからこそ、とても楽しいシーズンでした。先行きが不透明な状況だったので、Hondaの採用活動がどのようにあるべきかとことん向き合えた気がしますし、例年なら思いつかなかった新たな採用手法にも挑戦できました。何が正解かは誰にもわからないけれど、まずはやってみようというチャレンジ精神が、結果的に成果に結びついていくのかもしれません」
【3日目】三井物産 田渕様
学生の本質に迫る、「脱・就活ゴール」採用
総合商社である三井物産は、“人の三井”と言われるほど、人材を重視する社風で知られています。同社が2021採用のこだわりとして掲げたのは、「脱・就活ゴール」というキーワード。内定をもらうことは最終的なゴールではなく、就職した企業で活躍し、自己実現を果たすためにも、学生も企業もありのままの姿を見せることが必要、という想いが込められています。
まず行ったのは、従来型のエントリーシートから「自分史」への変更だったと言います。
「各自の体験を幼少期から振り返り、自分がどんなことを考え、何に感動し、何に熱中したのかを時系列で、2000字で書いていただきました。その時点でもそれぞれの個性が滲み出るものになりましたが、実際に面接をしてみると、自分史の印象通りの学生がいる一方、そうではない学生もいました。もちろん自分史だけで判断はできませんが、面接の際、自分史を参考に丁寧に話を掘り下げ、学生の素の姿に迫っていくことができました」
加えてインターンシップのオンライン化や、充実したラインナップのWebセミナー「Weekly Channel」等、対面にこだわった最終面接など、コロナ禍においても、いかに企業⇔応募者の相互理解を深めていくか?に心を砕きパワーをかけた取り組みについてお話いただきました。
「三井物産に入社することは、一言でいえば『自分探し』を続ける旅であると考えています。まだ何かの卵の状態の学生の皆さんが、自分の世界を広げたい、という強い意志を持って成長していく。そのために、採用側も就職した先の未来を明確にイメージできる環境を用意していきたいですね」

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