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採用戦略2023

―企業事例から、VUCA時代の“採用成果”を考える

2021年7月20日(火)、21日(水)にオンラインで開催されたHUMANAGE SEMINAR。
22シーズンの振り返りと23シーズンの戦略をお伝えした今回は、延べ2,500名以上の方々にご覧いただきました。

採用と育成、オンライン化、採用マーケティング……VUCA(予測不可能な)時代におけるさまざまな切り口をテーマに、
自社の施策や思いをお話しいただいたのは、独自の採用活動を展開する採用ご担当者の皆様。当日の模様をぜひご覧ください。

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2022採用総括と2023への提言

株式会社リクルート 就職みらい研究所 所長 増本 全 氏

株式会社ヒューマネージ HR AGE 編集長 中久保 佑樹

  • 初日は、株式会社リクルート 就職みらい研究所との合同セッションからスタート。長年HR領域で商品開発や就職支援を行ってきた所長の増本様より、コロナ禍における大卒求人倍率や内定率、プロセスごとの選考参加者数推移のデータを用いながら、2022採用の総括と採用マーケットの現状をお話いただきました。その後はHR AGE 編集長の中久保より、2022採用を表す3つのキーワード「さらなる早期化」「オンラインの浸透と課題」「採用マーケティングの実践」について、応募後の企業と学生のデータをもとにご紹介させていただきました。

    続く両者のトークセッションでは、会社の魅力を企画やコミュニケーションに落とし込んでいくために自社を深く省察することの重要性や、オンライン化における各フェーズの魅力の伝達やその解像度について、各社の事例を提示しご紹介。「人事は求職者の窓口であり、経営と現場と求職者をつなぐ存在である」——ほかにも、スピード感をもった採用PDCAの強度や採用広報コンテンツの潮流など幅広いトピックに触れながら、企業と学生双方にとってより良い採用活動の実現に向けた試みを、ともに考えた時間となりました。

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採用チームと育成論

コクヨ株式会社 山本 浩貴 氏

サントリーホールディングス株式会社 杉田 幸平 氏

  • ここからは企業の採用ご担当者様との豪華セッションへ。まずは、かねてから交流があったというコクヨ・山本様とサントリーホールディングス・杉田様をお招きしました。

    自社製品やサービスのユーザーでもある学生をお客さまと捉える視点を大切にし、フェアな関係構築を心がけているという点で共通する両社。今回のセッションの本題「チームの育成」について伺うと、それぞれの規模感やモットーに沿ったお答えが返ってきます。「採用活動を単年で考えるのではなく、イズムやノウハウを継承していくことを大事にしている」と語るのは、サントリーホールディングス・杉田様。キックオフミーティングによるマインドセットやコンピテンシー面接の基礎講座、実践トレーニングといった育成プログラムをシーズン通して行うことで、毎年採用チームのメンバーが入れ替わる中でも、ブレずに採用活動を行えていると言います。一方コクヨでは、4つのコース別採用をそれぞれ専任のメンバーが担当。2022年に企業理念が刷新された際には、「まずはコクヨとして何を大切にしたいのか?を作り込み、マネージャーから適宜共有し、コミュニケーションをとりながら各コースの採用方針に落とし込んでいきました」と語ります。各担当者における役割のレベルアップや面接の評価基準の統一など、より強固な採用チームを築くためのヒントが多数詰まった対談となりました。

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理系採用活性化のポイントに迫る

東急株式会社 初田 直美 氏

ルネサスエレクトロニクス株式会社 住近 勇輝 氏

  • 続いては、「街づくり」の会社として幅広い事業を展開する東急株式会社より初田様、世界に誇る半導体企業・ルネサスエレクトロニクス株式会社より住近様がご登壇。両社はそれぞれ総合職一括採用と職種別採用、異なる理系採用を展開していらっしゃいます。

    理系採用では、大学や研究室とのつながりはもとより、ダイレクトリクルーティングやリクルーター活動など、志向や分野にマッチする人材との接点づくりがカギ。インターンシップにおける理系採用ならではの仕立てや内定者フォローでの個別の対応など、丁寧なアプローチが伝わってくる内容になりました。特に印象的だったのは2023インターンシップでの改善点について。「東急に興味を持ってくれている学生は、いろいろな会社を見てみたい、と思う方が多いようですので、今年は昨年より期間を短縮して実施する予定」と語る初田様に対して、住近様は「学生からのフィードバックを受け、もう少し長い期間実務体験を提供する」とのお答えが返ってきます。採用は100社あれば100通り。自社が求める人材や志望してくれる学生の目線に立って、施策を実践していくことの重要性が表れたセッションでした。

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VUCA(予測不可能な)時代、
“成果を生み出す人材”を見極める新しい視点とは

―コーピング、レジリエンス、ジョブ・クラフティング

ビジネス・ブレークスルー大学 経営学部 専任教授 川上 真史 氏

桜美林大学 リベラルアーツ学群 領域長 教授 種市 康太郎 氏

  • 続いてLIVE配信でご講演いただいたのは、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部 専任教授の川上真史氏と桜美林大学リベラルアーツ学群 領域長 教授の種市康太郎氏。まずは川上氏より、VUCAによる人材論への影響といま求められる採用の視点についてお話いただきました。「これだけは共通して必要だ」と考えられる人材要件として、コーピング(ストレス対処方略)、レジリエンス(ストレスからの回復力)、ジョブ・クラフティング(仕事を手づくりする力)を挙げ、その後種市氏より、それぞれの視点について心理学的見地からご説明いただきました。

    「VUCA時代という周りに左右されやすい状況の中、自分自身の健康を保つコーピング(レジリエンス)をしつつ、さらに仕事に対して喜びや意義を感じるエンゲージメントにつながるジョブ・クラフティングを行う。これが今後人材に求められる個人要素だと考えられます」と締め括られた前半を終え、最後は視聴者の皆様からの質疑応答タイムへ。「レジリエンスは入社後に開発できるのか?」「ジョブ・クラフティングは入社時に確認できるのか?」といった採用や人材開発の現場からのリアルな質問が寄せられる中で、数多くの人材マネジメントに携わってきた川上氏と働くことのレジリエンスの第一人者である種市氏の掛け合いが、これからの人材戦略を浮かび上がらせるようなセッションでした。

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オンラインコミュニケーションと
採用の“本質”

中外製薬株式会社 高橋 泰代 氏

日鉄ソリューションズ株式会社 鹿島 亜紀彦 氏

  • Day1ラストのセッションは、中外製薬・高橋様と日鉄ソリューションズ・鹿島様。インターンシップをオンラインに切り替えたことで営業職向けのプログラムを0から作り直したという中外製薬と、ソフトウェア開発という業種を武器にこれまでのプログラムをオンラインに落とし込んだ日鉄ソリューションズ。異なる境遇で採用活動を進めてきた両社に共通するのは、学生を惹きつけ、企業の理解を促し、マッチングを高める施策の数々。インターンシップ参加に向けた事前のオンライン説明会、開催後のグループインタビュー、インターンシップ後に同じメンバーで集まる「同窓会」と題したイベント、役員や別職種の社員と採用担当のトークセッション……。「学生は、社員同士の何気ない会話やそこから感じられる雰囲気も判断材料にしている」「一緒に会社に入る仲間がどのような人たちかを重要視している」など、両社それぞれが感じられている近年の学生の所感をもとに、施策の感想を交わし合う一幕もありました。

    「オンラインだと、対面で会うよりもよく顔が見える」「ウェビナーはチャットだからこそ質問がたくさん集まった」——学生思いの施策をオンラインで効果的に実現する両社だからこそ生まれる、前向きな言葉が印象的な対談となりました。

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採用活動を成功に導くマーケティング戦略

キヤノン株式会社 橋本 大介 氏

本田技研工業株式会社 三厨 敬祐 氏

  • 2日目最初のテーマは、採用活動をマーケティングになぞらえ、企業と応募者のより深い理解に基づいた採用-就職を実現する“採用マーケティング”という考え方。イメージング技術をベースに新しい技術や事業を展開するキヤノン株式会社と世界一のパワーユニットメーカーとして幅広くモノづくりに携わる本田技研工業株式会社という、日本のトップメーカー2社にご登壇いただき、その施策をお伺いしました。

    「採用と切り離して、学生を“顧客”としてみてみると、新しい考え方が見えてくる」と語るのはキヤノン・橋本様。内定辞退者や昨年の内定者に向けて調査を行い、学生が求めていることを明確にしていったと言います。一方で本田技研工業・三厨様は、「どうなるかじゃない、どうするかだ。」という採用スローガンのもと、種別採用の拡大と採用要件の見直しを行ったシーズンだったと振り返ります。ジョブ・マッチンングにおける社内流動性の考え方や応募者と距離を縮めるためのフェーズなど、他業種にも応用できるヒントが多く繰り広げられた今セッション。ほかにも、他社事例の収集や過去データの活用など、採用マーケティングに欠かせないトピックに触れながら、自社のポリシーに即した採用マーケティング戦略を改めて考えるきっかけとなった対談でした。

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公平・公正な採用の実現へAI×採用の未来を語る

株式会社ユーザーローカル 山田 真紗義 氏

株式会社ヒューマネージ 河辺 祐輔

  • 『TG-WEB eye』(ティージーウェブ・アイ)は、AI 試験官が監視する《業界初》の Web 採用試験。今回のセミナーでは、新型コロナウイルス流行の影響により採用選考のオンライン化が一気に進み、コロナ終息後も、オンライン×オフラインのハイブリッド型の選考活動が主流になると見込まれるなかでの“応募者の利便性向上”と“公平・公正な採用試験”を実現するに至った背景や商品説明について、TG-WEB eye開発パートナーのユーザーローカルの山田氏を招きトークセッションを展開しました。

    HRテックの変遷や採用市場の過去・現在、そしてAIが変えていくであろう未来についても、熱い議論が交わされました。

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採用管理システムの活用事例!
きめ細やかなアプローチ&フォローを紐解く

株式会社湖池屋 中島 桃子 氏
トピー実業株式会社 大田 はるか 氏
三菱マテリアルトレーディング株式会社 齋藤 亮 氏

  • 採用ご担当者様の豪華セッションもいよいよ佳境へ。続いては、採用管理システム『i-web』をご活用いただいている3社をお招きし、実際の施策や工夫をお伺いしました。


    新卒入社1年目でメイン担当を任されたという湖池屋・中島様は、採用サイトとマイページの住み分けにこだわり、マイページ内では現場のリアルを反映したコンテンツを多く公開していると言います。一方で、「マイページは単なる手続きの場ではなく、第2の採用サイトと捉えている」と語るのは、トピー実業・大田様。採用活動の企画~実行までをほぼお一人で担われているという大田様ですが、採用管理システムの機能をフル活用し、業務効率化と同時に、応募者コミュニケーションにも注力されているとのこと。「事業自体が学生にとってわかりにくい」という課題を抱えていたという三菱マテリアルトレーディング・齋藤様は、コンテンツ回遊度の高いマイページを設計するとともに、若手社員との座談会や面接後のフィードバックなど、さまざまな企画につなげていらっしゃいました。

    三社三様の採用方針をお話いただいた中でも共通していたのは、採用管理システムでできるようになったことをもとに、応募者とのやり取りや関係を深めていく施策のアイデアを出し、採用チームや他部署の先輩社員らと協力しながら実行に移されているという点。採用管理システムのこれまで以上の可能性を、採用現場のリアルな声を通じて提示いただいたセッションになりました。

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自社の“人材の魅力”を重視した採用最前線

東レ株式会社 中島 究 氏

三井物産株式会社 田渕 順司 氏

  • 高い技術力と知名度を誇りメーカー志望の学生から熱い注目を集める東レ株式会社と、“人の三井”と言われるほど人の魅力を重視する社風で知られる三井物産株式会社にご登壇いただきました。

    2日間にわたるセミナーの最後を飾ったテーマは「自社人材の魅力」を活かした採用戦略についてでした。両社に共通するスタンスは、まさに自由な現場主体の採用活動という点。三井物産・田渕様は、自社に対する視点や魅力を一番知っている社員一人ひとりが、型にはまらず、そしてなにより楽しそうに応募者とのコミュニケーションを築いている現場と、そこから生まれたオンライン時代ならではの新しい施策や企画を振り返っていただきました。また、東レ・中島様からは、柔軟かつ多角的な視点による応募者と社員の最適なマッチングを図り、多くの接点づくりに注力されたお話や、それが東レの最大の武器である「人」の魅力に根付いたアプローチである点についてお話しいただきました。

    そして両社ともに、上記のような施策やフォローを効果的におこなうための採用戦略に応じた精緻なデータ管理のあり方にも話が及び、データは保持を目的とせず、自社にとって成果を最大化していくための可視化と、採用活動のPDCAサイクルに組み込んでいく重要性も伺えました。

真の“採用成果”について、ともに考えた2日間。
貴重なお話をいただいた皆さま、ご覧いただいた皆様、誠にありがとうございました。
貴社の採用活動に少しでもお役に立てる情報をお届けできていれば幸いです。

当社担当より、詳細をご説明させていただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。
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より詳しい内容は、人事採用ご担当者様向けメディア『HR AGE』でも順次公開予定です。

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