
媒体別URLで変わる流入把握と運用改善
――入口ごとの“フラグ運用”を回す
採用の入口が複数になるほど、「どこから入ってきたのか」を正しく把握する重要性が高まります。
本記事では、ATS(採用管理システム)に備わる「媒体別URL」を中心に、実務での使い方と改善サイクルの回し方を解説します。

1. 媒体別URLの基本――入口を分け、ログイン/登録時点で“経路フラグ”を付ける
媒体別URLは、同じ募集要項ページ・同じマイページであっても入口(案内経路)ごとに専用URLを発行し、そこからのログイン/新規登録に媒体フラグを付ける仕組みです。管理画面では、媒体履歴の画面から新規登録(媒体コードの作成)→専用URLの発行という流れで用意できます。
命名は任意なので、日付・用途・対象がひと目でわかるように付けておくと、後の集計や比較が整然と進みます。発行済みURLはそのまま配布しても、QRコード化して配布しても運用できます。
専用URL経由で入った応募者には媒体フラグが記録され、以降の画面や集計で入口ごとの母集団を切り出せます。ここで終わらせず、入口で分けた人に対して案内や表示を変えるところまで一体で設計するのがポイントです。
2. “フラグを効かせる”実務――限定公開・リクルーター運用・出席管理まで
媒体別URLの価値は、入口で付けたフラグを実務に効かせられる点にあります。代表的な使い方を3つ紹介します。
1.入口別の限定公開・表示制御
専用URLから入った応募者にだけ、特定アンケートを公開したり、特定イベントを表示したりできます。入口の意図(学内説明会経由、特設案内経由など)に合わせ、必要な導線だけを提示できます。結果として、応募者は“自分向けの情報”を受け取りやすくなります。
2. “人起点”の紹介・リクルーター運用
媒体別URLは媒体だけでなく、担当者・リクルーター・内定者ごとの個別URLとしても発行できます。誰の案内でログイン/登録に至ったかが識別でき、働きかけの貢献可視化に直結します。複数人が動く運用でも、入口別の母集団が後から確実に追えます。
3.オンライン施策の出席管理
ウェビナー等の終盤に専用URL(またはQR)からのログインを促すことで、ログイン=出席という運用が可能です。外部ツールの参加者IDとの突合を減らし、フラグが立った母集団をまとめてグルーピング。続けて履歴付加→出席メールでの即時フォローまで、その場で一気に運べます。
いずれも共通する肝は、入口で分けた人に“すぐ効く案内”を差し出すことです。媒体別URLは、その最初のスイッチを押す役割を担います。
3. 「上書きしない」媒体履歴――複数入口の行動がそのまま残る
媒体別URLからのアクセスは、既に登録済みの応募者でも上書きされず履歴が追加されます。これは実務上、非常に重要です。
同一人物が時期や目的に応じて別の入口を踏み直すことは自然に起こります(例:イベント経由→後日、別案内経由で再ログイン)。履歴が加算で残ることで、“最後のひと押し”になった入口や、効果的な組み合わせが読み解けます。集計は入口単体だけでなく、フラグの組み合わせで母集団を切る視点を持つと、改善の手が早くなります。
4.入口設計→導線→即時フォロー→検証の小さな循環を日常化する
媒体別URLは、入口設計 → 入口別導線(表示・公開の出し分け) → 即時フォロー(履歴付加や出席メール) → 効果検証(媒体履歴の集計)という小さな循環を日常運用に落とし込む道具です。
たとえば、学内説明会用URLで来場者を識別し、終了時にログインしてもらって出席を確定。直後にフォロー案内を送り、後続のエントリーや予約・提出の進捗をその入口の集団で追う。数字が示す伸び/鈍りを見て、次回は入口の作り(案内文・見せ方・提示するイベント)を少し変える――この繰り返しが、予算や工数に依らず効きます。
この循環は、派手さはありませんが、毎回同じ所作で回せるのが強みです。入口で分け、入口に合わせ、入口ごとに検証する。媒体別URLは、その“最小単位の型”を提供します。


採用管理システムを選ぶなら…
採用管理システムを選定する際には、以下のポイントを確認すると良いでしょう。
CHECK!
・媒体履歴から媒体コードを作成し、専用URLを発行できること(QR配布にも転用しやすいこと)
・専用URL経由でフラグが自動付与され、限定アンケート公開/特定イベント表示などの出し分けができること
・オンライン施策で専用URLログイン=出席の運用が可能で、グルーピング→履歴付加→出席メールまで素早く回せること
・既登録者が専用URLを踏んでも媒体履歴は上書きされず追加され、複数入口の行動が検証可能であること
・担当者・リクルーター・内定者など人起点の個別URLも発行でき、貢献可視化に使えること
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