
選考離脱を防ぐ!
ATSの自動メール&リマインド運用
応募者対応の遅れや抜け漏れは、離脱の大きな要因になります。
ATS(採用管理システム)には、イベント起点の自動メールや、状況に応じた手動メールを組み合わせて、抜け漏れを最小化するための仕組みが備わっています。
本記事では、セミナー記載の機能に限定して、自動配信・リマインド・手動配信をどう設計し、実務でどう回すかをまとめます。淡々とした管理ではなく、応募者にとってわかりやすく、担当者にとって運びやすい運用を目指します。

1. 自動配信の基本設計:予約・変更・キャンセルとリマインド(最大3段階)
まず押さえるべきは、イベント(説明会・選考日程など)に紐づく自動メールです。
イベントに対して以下の自動配信が設定できます。
予約完了メール/変更完了メール/キャンセル完了メール
応募者が「予約する・変更する・キャンセルする」操作を行ったタイミングで、自動的に通知します。実務では、参加方法(会場/オンライン)や持ち物の案内、注意点など、当日の動線に直結する情報を簡潔に載せます。
リマインドメール(最大3パターン)
開催日へ向けて段階的に自動送信できます(例:7日前/3日前/前日)。回数を増やせばよいわけではなく、内容を段階で出し分けるのがコツです。初回は概要と持ち物、2通目で集合場所や接続テストの案内、前日は直前導線と緊急連絡先——といった具合に、近づくほど“当日迷わない情報”に寄せます。
自動メールの本文は配信タイミングに依存しない表現で作ると運用が安定します。
マイページのURLなどは年度で変わるため、固定の数値や表記を直書きせず、システムの差し込み(変数)を使っておくと、年次切替時の修正が最小限です。
さらに「企業らしさ」を感じるトーンを保つと、通知が事務連絡で終わらず、応募者の心理的な安心にもつながります。
2. 手動メールの即応:日程確認/出席メール/滞留者メールを“その場”で打つ
自動配信だけでは吸い上げきれない局面に対し、手動メールで素早く対応します。手動メールについては、次の3種類があげられます。
1. 日程確認メール(イベント一覧画面から送信)
イベントの参加者一覧から、必要な人にまとめて送れます。
オンライン開催では接続URLやパスコードを本文に含める場面が多く、個別URLを人ごとに差し込む必要がある場合には、後述のクイックアップロード(挿入キー)を併用します。これにより、10名=10通の手作業配信を避け、1回の一斉送信で人別URLを配れます。
2. 出席メール(履歴付加画面に連動)
出席・合否・通過などの履歴付加と連動して自動反映される通知です。
グループワークのフィードバックコメントの案内など、イベント終了後の短い時間で送るべき内容に向いています。テンプレートを事前に整備しておくと、評価確定後にワンアクションで配信できます。
3. 滞留者メール(フローモードと連動)
フローモードでフェーズごとの滞留数を可視化し、対象者の塊に対して即時にメールが打てます。
たとえば「ES合格→一次面接へ進んだが、3日間アクションがない」といった条件に該当する応募者へ、リマインドや案内を一括で送れます。ES未入力者やイベントのみ予約者にも同様の即応が可能で、「気づいた時にすぐ打つ」体制が作れます。
手動メールの位置づけは、状況を見て“間を置かずに”打つこと。自動配信が網羅しきれない“いま必要な一言”を差し込めるかが勝負です。
3. 差し込みと複製で効率化:クイックアップロード(挿入キー)/イベント複写
手間なく精度を上げるための2つのテクニックをご紹介します。
クイックアップロード(挿入キー)
参加者ごとに異なる情報(例:個人別のオンライン会議URLなど)を、CSVで事前登録→テンプレート本文にキーを差し込むことで、送信時に自動置換します。
手動でコピー&ペーストを繰り返す必要がなくなり、作業時間の短縮と誤送信の抑制に直結します。
イベントの複写機能
前年度イベントやインターン各期のステップを雛形としてコピーし、イベント名などを微修正するだけで使い回せます。
「今年も同じ構成で走るが、日付とリンク先だけ変える」といった年次運用では、初期設定にきちんと投資しておくことで、その後の回転が軽くなります。
この2つを併用すると、募集期ごとの“大量・短期・高頻度”のアナウンスでも、精度とスピードの両立がしやすくなります。運用のブレが減ることで、応募者体験も安定します。
4. 具体的な文面の作り分け:タイミング依存を避け、段階で情報を深める
ここでは、「配信タイミングに左右されない文言での設定」に沿った作り分けの考え方を整理します。
・ウェルカム/予約完了:次の行動を1つだけ明確に。マイページのどこに何があるか、応募者が迷わない短い導線を置きます。
・リマインド1(早期):概要と準備物。受検・提出・持参など “抜けると当日困る”要素を先に提示します。
・リマインド2(中間):参加方法や注意点の再提示。オンラインなら接続テスト推奨、会場なら入館方法や集合場所を具体化します。
・リマインド3(前日):直前導線(URL/地図)と緊急連絡先。本文前半に“そのまま押せるリンク”を置き、視線の最初の一撃で踏ませます。
・出席/結果連絡:結果のみで終わらせず、次のアクションや案内ページのリンクを“短く”添えます。長文化は厳禁です。
なお、トークメッセージ(マイページ内のメッセージ機能)については、最初の1通は応募者側からは送れない/初回送信時はメール通知が飛ばないため、初回だけはメールでも案内を併送する、ということに注意が必要です。ここを外すと、応募者がメッセージの存在に気づかない恐れがあります。
5. 実務のリズム:自動で面を張り、手動で点を打つ
総括すると、自動メール=面、手動メール=点という役割分担で回すのが現実的です。
リマインド3段構成と基本の自動通知で面を張り、フローモードの滞留者やイベント一覧からの抽出で点を素早く突く。
そのうえで、クイックアップロードとイベント複写を利かせ、毎期の作業を“同じ所作”で淡々と回せる型にしておくと、担当者が変わっても品質が崩れません。
もしこれらを一画面で直感的に設定・確認できるATSであれば、運用の立ち上がりが早く、改善の速度も上げやすいはずです。


採用管理システムを選ぶなら…
採用管理システムを選定する際には、以下のポイントを確認すると良いでしょう。
CHECK!
・イベント起点の自動メール(予約/変更/キャンセル)と、リマインド最大3段階が設定できること
・イベント一覧・履歴付加・フローモードなど、画面から直接手動メールを即時に送れること
・クイックアップロード(挿入キー)で個別情報の差し込みが一括送信に対応していること
・イベントの複写機能で、年次・期別のテンプレート運用が素早く回せること
・トークメッセージ初回通知の扱いなど、運用上の注意点が明確で、メールと連携した案内が取りやすいこと
© Humanage,Inc.