2026.2.13
主体性のある人材は本当に優秀か──独りよがりを防ぐ自律と協調の見極め方
はじめに
採用現場において「主体性があり、自ら考えて動ける人材」は常に求められています。しかし、面接で「行動力がある」と評価された人物が、入社後に「周囲の意見を聞かずに独走する」「チームの和を乱す」といった問題を起こすケースは、決して少なくありません。これは、本人が持つ「行動力」が、組織への貢献ではなく、自己中心的な動機に基づいている場合に起こりうるミスマッチです。
本記事では、心理学や組織行動学の視点から、真の「自律」と単なる「独りよがり」を分ける境界線を解説します。そのうえで、適性検査を用いて、面接だけでは見えにくい隠れたリスクを検知する方法を提示します。
1. 主体性・行動力の裏に潜む「他者軽視」リスクとは
「自分で考えて動く」ことは重要ですが、それが周囲の状況や他者への配慮を欠いたものである場合、組織にとっては「協調性の欠如」というリスクになり得ます。
1-1. 自尊と他尊のバランスが崩れると、なぜ独善的になるのか
組織行動学やチーム・コミュニケーションの観点において、チームで成果を上げられる人材は、自分を肯定する「自尊」と、他者を理解・尊重する「他尊」の両方が高い状態にあるとされています。
一方で、「独りよがり」な行動をとる人材は、「自尊」が非常に高い一方、「他尊」が著しく低い傾向にあります。自分への自信はあるものの、他者への敬意が欠けている状態では、行動力があっても、それが独善的な振る舞いとなり、チームのシナジーを阻害する要因となります。
1-2. 自己保身が強い人材に見られるコンプライアンス違反の兆候
また、「他尊」の低さは異なる問題を起こす場合があります。「他尊」が低いタイプの中に、さらに「周囲からどう見られているか(公的自己意識)」を過剰に気にする傾向が加わると、リスクはより深刻化します。
このタイプは、自分を良く見せたいという欲求が強いため、不都合な状況に直面した際に、「自己保身のためにルールを逸脱する」「事実を歪める」といったコンプライアンス違反を引き起こす可能性があります。
2. 面接だけに頼らない、多角的データによる人材リスク検証
面接での印象だけに頼らず、候補者の行動特性と内面的なバランスを、客観的なデータで検証することが、リスク回避の鍵となります。
2-1. 行動事実から再現性を見抜くコンピテンシー評価の視点
面接では、応募者が主張する「主体性」が独りよがりなものではないかを確認するために、コンピテンシー(行動特性)の視点を取り入れます。
具体的には、「過去に成果を上げたエピソード」において、「自分一人でやったこと」だけでなく、「周囲をどのように巻き込んだか」「反対意見にどのように対処したか」といった、他者との関わりに関する事実を深掘りします。
また、うまくいかなかった経験を聞いた際に、原因を他者や環境のせいにする「責任転嫁(投影)」の傾向が見られないかを確認することも、独善的なリスクを見抜く重要なポイントです。
「何をしたか」という客観的な事実の中に、他者への配慮や協力行動が含まれているかを確認することで、真の自律性を判断します。
2-2. 適性検査データで可視化する、独りよがり人材のリスク
適性検査を活用し、面接では見えにくい内面的な「自尊」と「他尊」のバランスを、定量的に測定します。
特に、自分を肯定する力が強くても、他者を尊重する数値が極端に低い場合には、入社後にチームワークを乱す懸念があります。
また、パーソナリティ検査においても、「自己中心」などのアラート項目を確認し、極端な偏りがないかをチェックします。
「能力の高さ」だけでなく、「他者を尊重し、組織のルールを守れる資質があるか」をデータで可視化し、リスク因子を事前にスクリーニングすることが求められます。
3. データと事実で独りよがりを防ぐ構造化された選考へ
「主体性」という言葉の響きに惑わされず、その裏にあるリスクを見極める要点は、以下の3点です。
- 「自尊(自信)」だけでなく、「他尊(他者への配慮)」が備わっているかを、適性検査のデータを用いてバランスよく評価すること。
- 面接では、「やりたいこと(意欲)」だけでなく、過去の「行動事実」を深掘りし、周囲と協力して成果を出した再現性を確認すること。
- 自己保身や他者軽視に起因する「コンプライアンス違反リスク」などのネガティブな兆候を、客観的な指標で事前に検知すること。
感覚的な「元気の良さ」や「積極性」だけで採用を決めるのではなく、科学的なデータと構造化された面接を組み合わせることで、組織に調和をもたらしながら、自律的に活躍できる真の優秀人材を見抜くことが可能になります。
行動の動機と質を冷静に見極める採用基準の確立が、組織の健全な成長を支えます。
サービスのご紹介
適性検査『TG-WEB』に含まれるチーム・コミュニケーション適性検査(W8)では、「自尊」と「他尊」のバランスを定量的に測定し、面接では見抜きにくい「自己保身によるルール逸脱(コンプライアンス違反)」のリスクを可視化します。
また、コンピテンシー適性検査(A8)は、過去の具体的な「行動事実」から成果の再現性を予測し、責任転嫁の傾向(投影)なども分析可能です。
さらに、ベーシックパーソナリティ適性検査(B5)における「自己中心」などのリスクアラートと併用することで、独りよがりな人材のリスクを、より多角的かつ科学的に見極めることができます。
チーム・コミュニケーション適性検査 W8
コンピテンシー適性検査 Another8
ベーシックパーソナリティ
適性検査 B5
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