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2026.1.9

「良い人」の仮面を科学的に見抜く──社会的望ましさと回答矛盾から探る採用基準

はじめに

採用面接において「非常に感じが良く、優秀に見える人物」が、入社後に期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったり、組織に馴染めず早期離職に至ったりするケースは後を絶ちません。こうしたミスマッチの背景には、選ばれたいという心理から自分を実際以上に良く見せようとする「社会的望ましさ」による虚偽申告や、回答の一貫性の欠如が隠れていることがあります。本記事では、専門的な知見に基づき、表面的な印象に惑わされずに人材の本質を正しく見極めるための視点を、適性検査に現れるシグナルから紐解いて解説します。

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1. 採用を阻む「社会的望ましさ」と虚偽申告のメカニズム

採用選考という高いプレッシャーがかかる場面において、応募者が「選ばれたい」という動機から自分を社会的に好ましい姿へと演出するのは自然な心理現象と言えます。

1-1. 受検者が自分を良く見せようとする心理的構造

心理学において、社会的に好ましいとされる特性を自分が備えているかのように回答する傾向を「社会的望ましさ」と呼びます。これは「人間はこうあるべきだ」という建前を意識して本音を抑える優等生的な振る舞い、あるいは意図的に評価を操作しようとする「虚偽申告」の形をとります。特にストレス耐性や規律性などは「正解」が推測されやすいため、数値の裏にある回答態度に注意を払うことが、信頼性の高い判定に不可欠です

1-2. 自己認識の歪みがもたらす組織への潜在的リスク

適性検査において検出される「回答の一貫性」の欠如は、自己認識の低さや、面接でのペルソナと本音の間での葛藤が生じているシグナルです。自己認識が歪んだまま入社した場合、環境の変化に適応できず、早期離職や周囲との不誠実なコミュニケーションを招くリスクが高まります。表面的な好印象に隠れた不誠実な行動リスクを事前に検知することが、入社後の深刻なトラブルを防ぐ鍵となります

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2. 解決策・見極めの視点:事実と適合性への着目

「良い人」の仮面の下に隠れた真の実力とリスクを特定するためには、見極めの軸を「主観的な印象」から「客観的な事実と適合性」に切り替える必要があります。

2-1. 行動レベルでのアプローチ:再現性を問う事実の深掘り

社会的望ましさによる演出を排除するには、面接において「どう思うか」という主観を尋ねるのではなく、過去の具体的な「行動事実」を思い出してもらうことに集中します。コンピテンシー(行動特性)は、過去の行動事実から成果の再現性を予測する指標であり、「思考力」や「性格」とは一線を画す概念です。主観的な考えではなく「過去の具体的な行動事実」を確認し、再現性を精査することが見極めの急所となります

2-2. 思考・環境レベルでのアプローチ:組織適合性と対処力の検証

個人の資質が組織で発揮されるかは、自社の組織風土や価値観との「適合性(マッチング)」に大きく左右されます。どれほど高い知的能力を持っていても、組織の価値観との乖離が原因でパフォーマンスの低下や離職を招くことがあるため、性格の「良し悪し」ではなく「合うか合わないか」の視点が重要です。また、ストレス耐性についても、単に「耐える力」ではなく、困難に際して行動や認知で適切にさばける「対処力(コーピング)」を測定すべきです。自社と応募者の価値観を定量的に比較することで、長期的な定着と活躍の可能性を科学的に見極めることができます

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3. まとめ:データに基づいた科学的な採用への転換

「優秀で良い人」に見える応募者の実像を正確に捉えるための採用基準は、以下の3点に集約されます。

  • 社会的望ましさによる「虚偽申告」や「回答矛盾」を、適性検査の客観的な一貫性尺度によって事前に検知すること。
  • 面接ではイメージや意欲ではなく、徹底して過去の「具体的な行動事実」を確認し、成果の再現性を精査すること。
  • 個人の能力だけでなく、自社の組織風土や価値観との「適合性(マッチング)」を定量的なデータで検証すること。

経験や勘に頼った「感覚的な採用」を脱し、データに基づいた科学的な手法を採用基準に組み込むことで、採用ミスによる組織の停滞を防ぎ、社員が長期的に定着・活躍し続けられる強い組織を築くことが可能になります。一貫性のある明確な採用基準を設けることが、将来のコア人材を確実に見出すための第一歩となります

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サービスのご紹介

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適性検査『TG-WEB』に含まれるコーピング検査(G9)では、ストレス耐性を「耐える力」ではなく、行動や認知で「対処する力」として可視化し、入社後の早期離職リスクを特定します。また、パーソナリティ検査(B5)は、ビッグファイブ理論に基づき応募者の資質を測定するだけでなく、自分を良く見せようとする回答態度を判定します。
A8では過去の具体的な「行動事実」から成果の再現性を予測し、i9では未知の課題に対する論理的思考力を定量的に測定できるため、面接だけでは見抜けない潜在的な要素を科学的に特定し、貴社の見極めを支援します。

成果につながる行動を起こす力を測定

コンピテンシー適性検査 Another8

成果につながる行動を起こす力を測定
ストレス対処力を測定

コーピング適性検査 G9

ストレス対処力を測定
組織や部署にマッチする性格を測定

ベーシックパーソナリティ
適性検査 B5

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成果をあげるためのベースとなる判断推理力を測定

判断推理力検査 i9

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