2025.12.26
保有能力を成果に変える「発揮能力」の科学──「優秀なはず」を脱する採用基準
はじめに
「知的能力も申し分なく、経歴も華やか。それなのに現場では期待された成果が上がらない」。
多くの人事が直面するこの悩みの正体は、個人の知識や思考力といった「保有能力」が、実務での「発揮能力」に直結していないことにあります。
知識を成果に変換するには、自律的にP・D・C・Aサイクルを回し続ける「行動特性(コンピテンシー)」が不可欠です。
本記事では、なぜ高能力者が「評論家タイプ」に陥ってしまうのか、そのメカニズムを解き明かし、実行力のある人材を正しく見極めるための具体的な視点を解説します。
1. 優秀さの定義を再定義する──保有能力と発揮能力の構造的違い
採用現場において、知的能力は成果を出すための重要な「必要条件」ですが、それだけで成果が保証されるわけではありません。
1-1. メカニズムの解説:なぜ知識が行動に変換されないのか
成果を創出するプロセスにおいて、知的能力や専門知識はあくまで「入力(インプット)」のリソースに過ぎません。重要なのは、そのリソースを実際の行動に結び付け、成果へと変換する力である「コンピテンシー」です。
真のハイパフォーマーは、自身でP(計画)・D(実行)・C(確認)・A(改善)のマネジメントサイクルを独力で完遂する「セルフマネジメント能力」を備えています。
一方で、知的能力が高くても「実行(D)」のフェーズが弱いタイプは、頭の中で完璧な計画を立てることはできても、それを具体的な行動に移して現実化する力が不足している「計画倒れ型」に陥っているケースがほとんどです。
知識を成果に変換する「行動の質」に着目することが、人材の見極めにおいて極めて重要です。
1-2. 具体的な事象:評論家タイプが組織に与える影響
実行力が伴わない、いわゆる「評論家タイプ」の人材を組織が抱え続けると、現場には深刻な停滞が生まれます。
特に、高いポテンシャルを期待された人材が、困難に直面した際に「自分はできている」という思い込み(同一視)に固執したり、問題の原因を他人のせいにしたりする(投影)といったネガティブな反応を示す場合、周囲のモチベーションを著しく低下させ、組織全体の生産性を損なう要因となります。
「保有能力」と「発揮能力」の乖離を放置することは、人材への投資効率(ROI)を大きく損なう、企業にとって避けるべき事象です。
2. 成果の再現性を高める見極めの視点
主観的な「印象」に惑わされず、客観的に人材を評価するためには、評価の軸を「保有能力」から「行動レベル」へと切り替える必要があります。
2-1. 行動レベルでのアプローチ:過去の事実を「思い出してもらう」
成果の再現性を予測する上で最も有効な手法は、応募者に将来の抱負を「考えて答えさせる」のではなく、過去の事実を「具体的に思い出して答えてもらう」ことに集中することです。
面接では「どうしたいか(意欲)」や「どう思うか(主観)」を尋ねるのではなく、徹底して「いつ、どのような場面で、具体的に何をしたか」という「行動事実」を確認しなければなりません。
特に「実行(D)」や「改善(A)」の弱さを見抜くには、具体的な行動のプロセスを時系列で深掘りし、その行動が「たまたま」の一過性ではなく、何度も繰り返し行われている「頻度」と「再現性」があるかを確認することが見極めのポイントとなります。
「事実」に基づいた構造化面接によって、本人の等身大な実力を把握することが可能となります。
2-2. 思考・環境レベルでのアプローチ:資質と組織の適合性
個人の能力を最大化させるには、組織風土との「適合性(マッチング)」も欠かせません。
パーソナリティの定義において性格に「良い・悪い」はありませんが、組織の価値観と個人の志向性に極端な乖離がある場合、それが心理的ストレスとなり、本来持っているパフォーマンスが発揮できなくなります。
また、ストレス耐性についても、単に「耐える力」として捉えるのではなく、ストレス反応が出た際に行動や認知でいかに適切にさばけるかという「対処資源(コーピング)」の視点で評価すべきです。
困難な状況下でも自律的に動ける「対処力」の有無を確認することが、入社後の安定した成果発揮を支える土台となります。
3. まとめ:データに基づいた科学的な採用への転換
「優秀なはずが活躍しない」というミスマッチを防ぐためには、採用基準を「何を知っているか」から「どのように行動して成果を出すか」というコンピテンシーの視点へ転換することが求められます。
重要なポイントは以下の3点です。
- 知的能力という「保有能力」だけでなく、PDCAを回す「発揮能力(コンピテンシー)」を評価に組み込むこと。
- 面接では「主観的な考え」ではなく「過去の具体的な行動事実」を確認し、再現性を見極めること。
- 個人の資質と組織の価値観が合致しているかを、適性検査による客観的なデータで検証すること。
経験や勘に頼った「感覚的な採用」を脱し、データに基づいた科学的なアプローチを採用プロセスに組み込むことで、一貫性のある採用基準を設けることが可能になります。
これにより、個人の持つリソースが最大限に引き出される組織を築き、持続的な企業の成長を実現していきましょう。
サービスのご紹介
適性検査『TG-WEB』に含まれるコンピテンシー検査(A8)では、成果に直結する「行動特性」を定量的に測定し、知識を成果に変換する力を可視化します。
独自のロジックに基づき、受検者が過去にどの程度の頻度とレベルでマネジメントサイクルを完遂してきたかを算出するため、実行力が伴わない「評論家タイプ」を事前に見極めることが可能です。
また、コーピング検査(G9)ではストレスを「対処する力」として評価し、知的能力検査(i9)では「論理的思考力」や業務処理の「正確性とスピード」を測定します。
これらのデータを組み合わせることで、保有能力と発揮能力の双方を科学的に評価し、貴社にとって本当に必要な「活躍人材」の特定を強力に支援します。
コンピテンシー適性検査 Another8
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